「小室哲哉」6億数千万円弁済が“勇み足”になる可能性

刑事裁判に関わったことがある者からすると、裁判長の「当たり」「はずれ」というものを強く意識するはずだ。無論そんなことをブログで書いたりするものは、ほとんどいないだろうが。裁判長も人間なので、普通の人間と同じく感情がある。だから、判決にもブレが生じる。私は判決前には大きく誤解していたのだが、裁判の判決というのは裁判官の「心証」でほぼ決まる。「あ、こいつは無罪だな、とかこいつはあくどいので求刑より重い量刑を課してやれ」とか、それを法定刑の上限から無罪の間で自由に決めているのだ。

そして、量刑が決まったらそれに合うように証拠をうまいこと採用し、それにあわないものはスルーする。嘘かと思うかもしれないが、実際に体験したのでよくわかる。当然刑事裁判というのは検察側から被告人に不利な情報が、弁護人からは有利な情報がもたらされる。事件といってもまるっきり同情の余地もまったくない極悪事件から、有罪にするのはしのびない、さすがに酷いよねといったものまで、はっきり0か1かと割り切れるものではない。だからこそ、この量刑の部分というのは裁判官の裁量による部分が大きいのだ。

もちろん、過去の同種事案の量刑事情を考慮するというのが、その裁量の自由度にブレーキをかけているはずなのだが、最近の「厳罰志向」を世論が容認するようになったため、どちらかというと厳罰方向に裁判官の多くはふれていっているのが実情である。「厳罰志向」の最たるものは「死刑」に関する論議である。従前は殺人一人なら死刑回避というのが「量刑相場」であった。しかし、残虐犯には厳罰を!との世論なのかマスコミが煽っている世論なのかわからないけど、一人でも死刑というのが世の中の趨勢になりつつある。

最高刑である死刑の量刑事情に引きずられるように、他の犯罪類型に関する量刑も重くなる傾向が強くなっていると思われる。例えば、自動車事故に関する量刑。立法もその方向であり、危険運転致死傷罪など新設され懲役は20年を超えることも可能になっている。また脱税に関する量刑もそうだ。以前は1億の脱税なら執行猶予がついて当たり前だったが、最近は1億越えは初犯でも実刑である。

私の場合でも、証券取引法違反単独なら間違いなく有罪でも執行猶予だよって、多くの人に言われたものだが、実刑判決を受けてしまった。そしてその量刑事情がその後の裁判でも継続される可能性が高い。証券取引法は改正され金融商品取引法と名前を変えたが、法定刑の上限は5年から10年に大幅に上げられた。

その引き金を引くのは、いわゆるこの小室さんの裁判長になったような「厳しめ」の判決を出す人だ。そして一般市民はいわゆる刑事被告人になることは一生ないと「思い込んでいる」ため、被告人に厳しい判決を出すのは当たり前だという風に思ってしまう。だからどちらかというと厳しい判決を応援する。そしてそれにマスコミが加担する。

そすうると益々量刑事情は厳しくなっていく。それがどれだけ危険な事か。権力を持つ側は益々権力が大きくなるのだよ。いつ自分に不利な状況になるかもしれない。でも結局それを決めるのは最終的には国民の「雰囲気」である。例えば米国なんかは証券取引法の刑罰は厳しいけど、ヨーロッパではそうでもない。ま、多くの人は関係ないと思ってしまうから、結局裁判官や、それを報道するマスコミに流されてしまうのだろう。ちょっとした雰囲気の違いだけで、当事者である私なんかは人生を大きく左右させられるのだ。

裁判はある意味ロシアンルーレット的なところがあり、だから運が悪いなとおもってしまうのだ。私もある意味運が悪かったけど。

ところで、ライブドアのMSCBに関して株主が損するから駄目だ云々書いている人いましたけど、結局MSCBで調達した金をどうするかによるのでしょう。損失補てんのためのMSCBは株主にとってはあまりよいものではないかもしれませんけど、それによって大きな勝負をして勝つ可能性があるのであれば、よい面も大きいのではないでしょうか。私も大株主で、さらにMSCBをやることで拒否権(実質1/3の議決権)を失いますから、相当に悩みましたよ。総合的に判断して株主価値は最終的には上がると考えて(短期的には不安定になるかもしれませんが)、実行しました。実際のところその後数ヶ月で株価は回復し、MSCB以前よりも上がっていましたから、まあまあ正解だったといえるのでは?

株主数は増えても、その分証券口座や将来開設予定だった銀行の優良顧客候補になりますし、諸費用はそういったグループ金融事業の宣伝費や、他社の広告を総会の召集通知に同封したり、株主専用ページの広告・アフィリエイトで当時はペイできていました。

一見、無茶に思えてもしっかり考えて諸政策を実行していたつもりだったんですがねぇ・・・・。

最近読んで面白かったマンガ↓伊藤理佐さんのマンガは全体的に好きなんですが。。。。私は一戸建てにはまったく興味ありませんが、人んちに遊びに行くのは大好きです。

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