以前から「看板下ろしたい」=減員で総合センター維持厳しく-妊婦死亡の墨東病院

以前に書いた大野病院の事件の件とかが、私は非常に影響していると思います。医師として適切な医療を行ったとしても(大野病院事件は無罪が確定しています)、刑事訴追(逮捕・起訴)され懲戒免職され社会的に非難を浴びる可能性が高いわけです。

さらに、忙しくて人員補充もままならず、うつ病になって自殺する人もいるくらいの職場で、ちょっとしたミスをして運悪く患者が死亡したら、刑事訴追されて有罪判決を受けたりするわけです。

そもそも、医師は国家試験に通って研修などを積み、専門医になっていくわけですが、どの科を選ぶかは医師の自由なわけで、せっかく苦労して勉強して医師になったにもかかわらず、敢えて上記のような危険を冒してまで、患者を死亡させる可能性が高い科を選ぶ人がどれだけいることか。

いや、むしろそういう科を選ぶ人は立派な志を持ったまじめな人が多いと思います。人の命を救いたいという一心で。そういう人が一番つらい立場に立たされるのです。

さらに、最近では医療技術が発達したことやライフスタイルが変化したことによる、出産年齢の高齢化や不妊治療によって、出産そのもの、にかかわる高度な技術が求められるようになっているようです。皮肉なことに、それが産科医の刑事訴追の可能性を高めているように思えます。

また、以前と比べ出産の成功率が上がったこともあるでしょう。数十年前までは、お産で死ぬ人や子供も多かったようです。出産は安全なものであるという世間の誤解も、患者を死なせた医師への轟々たる非難を加速しているように思えます。

産科医以外でも、小児科や救命救急センターのようなところは常に人員不足のような状況のようです。

もちろん、医療事故はなくすべきものではありますが、むやみやたらに刑事訴追するのもどうかと思います。患者を殺して平気な医者などいないと思います。医療事故が起こった際に徹底的に調査をし、それに協力することにより、刑事免責するような制度などを検討すべきでしょう。また、医療事故に関する民事訴訟に耐えられるような損害保険制度の確立なども進めるべきかと思います(すでにあるのでしょうか?)

医師はこれから、ますます不足してくるのだと思います。安心して医療を受けられるようにするために、できる限りのことをしていきたいですね。

ちなみに・・・医者を主人公にした漫画は面白いのが多いですね。

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