昔、昔、実家には犬がいた。

アランと言う名前の雑種で、手足や胸が白い毛で全体は黒いイヌだった。

かなりのビビリイヌで、喧嘩は負けるし人が来ても吠えないし、よくアランに対してイタズラもした。

産まれた時からアランが居たので、イヌが当たり前に生活圏内にいて、違和感もなかった。

アランはアランだった。

今の実家に住む迄は借家や賃貸だったので犬を飼えず、親戚の叔母さんが引き取ってくれてた時もあったけど、良く連れて来てくれてたのでアランに会うのが楽しみだった。

アランがいた。

アランに会えた!

アランと散歩した!

そして、今の実家が建ったので数年振りにアランを飼える事になった。

アランは犬だけど、家族の一員だった。

ある時、いつもは一階に居るアランが二階の私の部屋で寝てたり、弟の部屋で寝たりすることが多くなった。

急な階段だからよく登って来たなぁと内心思ったけど。。

今振り返ると、もう死期が迫っていたから最後に子供らと一緒に寝てやるか〜みたいな感覚だったんじゃないかな。

最後にお別れ兼ねて。

数日後、アランが倒れた。

玄関の辺りで息も絶え絶えしていて、家族みんなでアランがアランが!とあわあわしていた。

だけど、家族に囲まれていたアランは幸せだったかもしれない。

最期に息を引き取って、当時生きてたおじいちゃんが庭に穴を掘ってアランの亡骸を埋めてくれた。

私はアランの最期の姿は何故だか見たくなくて、二階の部屋でドラマを観てた。

庭から、土を掘り起こしてる音が聞こえた。

アランが埋まった場所は木が植えられていて、翌年には大きな花が咲いた様な。。。

とにかく、木が大きくなったのは確かだ。

アランは家族だ。