映画「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」感想 | 藤子マニアのギター弾き

映画「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」感想

このブログで果たしていつ、書く機会が来るだろうと思っておりましたが「パトレイバー」、実はかなり好きなのです。ファン歴は小学生の頃からで、約25年になります。

 

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去る、5月1日に実写映画「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」が全国公開となりました。「パトレイバー」自体は約27年前、1988年に開始した作品です。メディアミックスの先駆け的存在で、OVAから始まり、これまで漫画・映画・TVアニメ・新OVA・映画(P2)・映画(P3)と続いてきました。途中、小説やCDドラマ等もありました。P2が1993年、P3が2002年公開で9年の空白期間があり、そこから更に12年間の期間を経て2014年実写ドラマ化、そして今年2015年の実写映画。多種多様な媒体で、かつ不定期ながらもこれだけ長く継続している作品は珍しいです。

 

これまで発表された上記のメディア作品を見てきて思うことですが、今回の実写映画のレビューを書く前にまだこれから映画を観に行く予定の方や「パトレイバー」シリーズをあまりご存知ない方にお伝えしておきたいです。この「THE NEXT GENERATION パトレイバー 首都決戦」は過去作品を見ていないと ⁇ な箇所が多々あります。また、映画2作目「機動警察パトレイバー2 the movie」の続編的なストーリーになっていますので、事前にご覧頂くと更に今作が楽しめると思いますのでオススメします。

 

 さて、まず初めに今回の登場人物たちについてですが、表題にもあります“THE NEXT GENERATION - 次世代”、つまりシリーズ当初の特車隊員の話ではありません。押井守監督云く、「栄光の初代・無個性の二代目・無能の三代目」。ここでの初代とはTV・新旧OVA・P1・P2を指し、二代目はP3です。今回の実写版ドラマ・実写版映画が三代目となります。ただし今回の映画には、全く初代の登場人物が登場しない訳ではありません。

 

 かつて整備班にいたシゲさんことシバシゲオが、榊班長の後任として班長になっています。しかも声優を務めていた千葉繁さんが実際に演じているのが凄い。P2にも登場した整備員のブチヤマも副班長となっています。更に、第1小隊隊長だった南雲忍も登場し、顔は見えませんが、声は榊原良子さんが当てています。三代目第二小隊員は初代メンバーの名前を彷彿させる面々(例 いずみ のあ→いずみの あきら)となっています。

 

ストーリーは映画2作目から繋がっており、テロリスト首謀者であった柘植行人の真派による新たなテロが今回の事件です。その流れで、かつて柘植が防衛庁時代に設立した、多目的歩行機械開発運用研究準備会(柘植学校)」に警視庁から派遣され、彼と深い関係にあった南雲忍も今作に登場している訳です。特車二課の所持するイングラムは、既に旧世代機種となっており、度重なる改造でスクラップ同然の状態で、特車二課の存続も危ぶまれる状況にあり、前述の“無能”は隊員のみならずレイバーにも当てはまっています。

 

そんな特車二課が、今回のテロの実行機である最新鋭ステルスヘリ、GLAY GOHSTとどの様に闘うのか、というのが映画の宣伝コピーにもなっていました武装した特車隊員がテロリストの陣地に乗り込んで行くシーンはこの映画の一番の見所になっていたと思います。特にカーシャのアクションはドラマでも素晴らしかったですが、映画においてもアクション初心者とは思えない動きで見応えがありました。

 

その反面、イングラムとグレイゴーストの対決は物足りなさが隠せませんでした。スクラップ同然のイングラムですから、ほぼ動く事が出来ず、リボルバーカノンで対空射撃するしか術がないというのは、ある意味では納得なのですが、橋の上でデッキアップしたのは良いとして、走りも歩きもせずその場から動けないというのは、映画のクライマックスとしてどうなのでしょう。

 

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P2は、パトレイバーという世界観を借りて、押井節の効いた小難しい長台詞や、テロリズム、人間ドラマが主体の作品でしたし、それは良かったと思います。それは、その中でもレイバーがそれなりに活躍していたからです。

 

しかし今作では更にレイバーは不要のものになってしまい、P2のストーリーの続きをただ楽しむ作品、もしくは過去作品を見ていない一般観賞者に対しての、“ちょっと変わった世界観のテロ映画”の提供に収まってしまった感じがします。ひょっとするとレイバーシーンを作成するのに費用が嵩む問題があるのかも知れません。そうだとしても実写ドラマで製作したレイバーシーンを映画に織り込むなどして、レイバーの動く姿をもう少し見たかったと思います。

 

10月10日からディレクターズカット版が公開予定となっており、押井監督によると、上映時間は27分拡大されるとの事です。その尺に、レイバーシーンが盛り込まれる事を期待したいです。