ダンゴムシ探検隊 出発だ~い! ①    2024,8,3ブログ

   ―学級通信『なかよしいっぱい!』№22(2004,5,13)号―

《はじめに》 子どもたちの身近な暮らしの中から不思議を問う学び

 『総合的な学習の時間』というと、どこかから大きなテーマを見つけ、それを学びにすることが多い。ぼくは、3年生の子どもたちが身近な生活の中からテーマを見つけ、夢中になって不思議を問うような学びをしてくれたらいいなと思っていた。3年生初めての総合の授業にダンゴムシを取り上げたらどうだろうと考えた。その時の授業記録を何度かに渡ってこのブログで紹介したい。(2024,8,3記)

 

アイテムは持ったかい?

 小さな透明パックをひとりが1個、それから割りばしを持って、3年1組『ダンゴムシ探検隊』は、「ワーッ」と校庭や校舎の裏に散らばって行った。

「花壇だ!」

「体育館の裏がいるぞ、きっと!」

「ねえ、待ってよ。わたしも仲間に入れて!」

「いいよ。オレたりの仲間に入れよ」

 ぼくが、靴をはき替えて校庭を見回すと、

「あれ? だあれもいないぞ!」

 そして、裏に回ると、いたいた! クラスのみんなが、緑の葉っぱのしげった雑草の中や、花壇のすみっこを、ギラギラした目で探している。

「おーい。誰かダンゴムシをゲットした子いるかい!?」

「ハーイ!」

 この声は聡美さんだったかな。すごいや、第1号だ。

「ぼくだって!」

「オレだって!」

「すごい、すごい!やったね」

 みんな、得意そうに捕まえたダンゴムシを見せてくれました。

 

総合『かしわタイム』の始まりだ

 この日の1時間目が、総合『かしわタイム』の初めての授業。『総合』って何かを話し合ってからね…。

 ぼくは、黒板に次のように書いた。

 小さな[〇~〇]たち(実際は( )の中は空欄)

 これは、学習のテーマ!

 みんなが次々に発言した。

崇章 …仲間!

T  …“小さな仲間たち”か! いいなあ。ピッタリだね。

 以下、次々に発言したみんなの言葉をここに載せておくね。

 ・子ども(雄大、克秀、秀誉) ・虫(智大、康輔)  ・生き物(優太郎、祐貴、英一斗) 

 ・生徒(さやか)  ・植物(春菜)   ・たね(裕太)   ・人(崇章)  ・子(理帆)

 ・わたし・ぼく(聡美)

T  …ここでまとめさせてね。これから学習することなんだけど、子どもたち、生徒みんな、仲間、植物やたねなんかも、もちろんこのカッコに入る言葉だけど、虫、つまり生き物たちの学習をするんだ。

 ぼくは、みんなの意見を赤いチョークでグルリと囲んで、テーマのところに引っ張って行って、『小さな生き物たち』と書いた。

 

あっ! ダンゴムシだ!

 続いて、1枚の写真を黒板にはった。まんまるくて、すきとおった球のかたまり。少し線があるけど黒くなんてない。これが何の写真か絶対わかんないと思ったのに、

「あっ! ダンゴムシの赤ちゃん!」

 と、叫んだ子がいる。優太郎君たちだ。ウーンと舌をまく。

「本当に、ダンゴムシだと思う?」

 と、ぼく。

「うん。絶対だよ!」

 答えは伏せておいて、次は巨大な怪獣みたいな写真を見せた。上から少しずつ白い紙をおろしていって姿を見せる。

「絶対、ダンゴムシだよ」

「……」

「あれ!? カメかな…」

「カタツムリかな…」

「カナブン」

 3枚目のまるまった幼虫の写真を見せると、みんな一斉に言った。

「やっぱり、ダンゴムシだ!」

「ダンゴムシってワラジムシに似てんだよ」(優太郎)

「えっ、ワラジムシってなあに?」

 と、質問も飛び出す。いいなあ。

「あのね、ワラジムシはまるまんないの」(秀誉)

「でもね、ダンゴムシとそっくりなんだよ」(優太郎)

「体がね、少しダンゴムシにくらべて白いよ」(祐貴)

 もう、ぼくは子どもたちの会話を聞いているだけでよかった。うれしくなる。

 

ねえ、ダンゴムシの目はどこなんだい?

 そこで1つ問題を出した。

「この怪獣みたいなダンゴムシの目はどこ?」

 瑞生君、雄大君、智大君たちが10人ほど出てきて

「ここだよ!」

 と、言った。

 それは、3カ所に別れた。

「ウーム。本当はどこなんだろうね。これから研究してほしいなあ」

 考えてみると、ダンゴムシの名前は知っていたって、名前の他に知らないことがいっぱいありそうだね。

 例えばさ、

①  目は、どこ? どんな目?

②  口はどこ? 何を食べてるの?

③  オスとメスはいるのかな?

④  足は何本あるの? どうやって動くのかなあ。

⑤  赤ちゃんは、どこから生まれるの? どんな形?

⑥  どこに住んでるの? 何年、生きるの?

⑦  …わあ、考えただけでもいっぱいあるねえ…。

              授業は続くけれど、今日はここまで…。