さよなら五年生 贈る言葉①         2024,7,7

 『知り知り知り隊スーパーⅤ-Ⅰ』№174(2004,3,24)号より

《はじめに》

 ブログで何度か取り上げているが、今回も学年の終わりにぼくが子どもたちに贈った言葉を紹介したい。子どもたち一人ひとりの通知票に記した言葉ではない。学級通信に掲載し、クラスの子どもたち全員に向かって語りかけた言葉だ。ぼくらのクラスは、こんな素敵な仲間と一緒に1年間生活し学び合ってきたんだね…と。

 そしてここには、ぼくがどんなふうに一人ひとりの子どもをとらえていたか、その子のどこに心を惹かれ可能性を感じていたか、そうしたことが描かれているように思う。

この贈る言葉は、最初にメモ書きしたり、どこかに一度書いてから通信に書いたわけではない。ぼくはそういうことはしない。ペンを持ち通信に向かって名前を書いたら、その子の学級での姿を思い浮かべ、後は一気に書く。(2024,7,7記)

 

みんながみんな、不思議な力を持っていたこと

 そして、その子の素敵な力について知っているかい?

 

麗さん …心に描いて伝える力がある。思いをていねいに積み上げて、グイと扉を開ける力がある。やさしいけれどパワーあふれる女の子。

龍輝君 …本当のところで、楽な道を選んだり人を傷つけたりすることは絶対にしない子。理科の実験をひとりで続けたり、そっと椅子を運んでくれたり。バスケットボールがあれば、後は何もいらない。

恵子さん …走る! カモシカのように! あなたは風。ポニーテールをなびかせてハードルを跳ぶ。越えて走る。コートをかける。ノートを夢中で書く。かわいい絵は秘密のノートに!

紗希さん …コツコツと、コツコツと、回り道、曲がり道、誰も通らないような嫌な道も、紗希さんは逃げ出さずにまっすぐ歩く。素直で誠実という宝物を持って! 家庭科クラブの部長さんだ。

蒼空君 …叱りがいのある子だ。シャンとするもの。本当に人間にとって何が大切かってことを、心の中でちゃんとわかっているから潔いし気持ちがいい少年だ! 負けても勝っても、やさしく耐える力がある。

聡志君 …君の投げる球は、うなりをあげてホップする。直球から目をそらしたらノックアウト! ふだんのやさしくてちょこまかと遊ぶ姿がいい。文章を書き始めると深い問いの世界を探り出す。

あゆみさん …体全身が輝くような言葉であふれていて、弾ける。それがあなたの力。いいところ。光り! だから朗読なんか最高だ。『龍の子太郎』忘れられないね、あのパワー!

一浩君 …数学をサラサラと解くすごさ! 楽しいだろうな。休み時間になると、いつだっていっぱいの仲間の中で楽しく遊ぶ。君は、ボールを思いっきり友だちにぶつけるけれど、恨みを持つことなど一度もない。だから信頼される。

博之君 …「先生、ぼくはこう思うんですけど…」―この言葉を聞いた時、君のすごい成長を感じた。言葉づかいひとつで心がつながりあうんだね。「負けるもんか!」と言って大記録を出した幅跳び! そして書く力のすごさ。

和貴君 …放送の仕事を忘れずに毎回続けていた。続けるってすごいことだ。さぼらずに責任を果たすってすごいことだ。社会科の知識もすごいけど、和貴君の誠実さという力のすごさ! 輝いている。

友樹君 …ドッジボールやバスケットボールでは、蝶のように舞うけれど、授業中のものごとを見極め考えて行く力の鋭さ。だから君は、キラキラ、ヒラヒラ、ワクワク、ドキドキ! そんな少年。

かおりさん …かおりさんを見ていると“いいなあ”と思う。だって、密やかで、クスッと笑って、自分の世界を大切にしていて、あの『ムム』を書いた詩のように、涙のとまらない自分を正直に見つめて書けるんだもの。

奏子さん …授業って何? 考えるってどういうこと? 発言って何? 意見を重ねる意味、わかるってどういうこと? まるで学者みたいに、あなたは、この一年で深く考える子になりました。

        (※この続きはまた明日)