5年1組 子どもたちの詩から ②    2024,6,21ブログ

《はじめに》

 今日のブログは昨日に続き子どもたちの詩の紹介。詩を書くとき子どもたちは時々“宙”をにらみ白い紙に向かって鉛筆を走らせる。消しゴムで何度も書き直しながら…。作文や詩を書く時の子どもたちの集中を見るのは楽しい。頭の中に浮かぶ風景や、心の中の思いを言葉にするのは難しい。まさに、子どもたちの格闘だ。だから、選ばれた言葉や文を大切に受け止めたい。(2024,6,21記)

 

【詩】 はなまる   愛詠 

(※5年1組で『目あて』が守れたり、みんなでがんばることがあったりすると増える宝物・花丸のこと)

一日一日、少しずつたまる花丸

一つ一つたまるごとにルンルン気分

「まだまだだなあ」

「あっ! 今日は一気に六個」

「あっ! あと三十個」

「あと少し」

「あと一個」

やったあ!

花丸が百個になるとお楽しみ会

一時間何をやろうか

何をするか決まると『お楽しみ会』

 

サッカーをやった

シュートされたりシュートしたり

「やったあ」

「あ―」

あっというまに時間が過ぎて行く

百点はあっというまに0点へ

ふり出しにもどる

でも、思い出は忘れない

くやしかったこと、うれしかったことも

忘れない

 

🌞5年生になった4月から、みんなで貯めてきた花丸。もう500個を越えた。その一つ一つに、みんなの小さな努力がある。授業で燃えたり、やさしい気持ちがふくらんだりして花丸が増える。100個たまるとみんなで遊ぶんだ。愛詠さんが言うようにふり出しにもどるみたいだけど、思い出は積み重なっていくんだよね。花丸をキラキラした目で心にとめている愛詠さんがうれしい!

 

【詩】 三年の夏     万智

その日は私のたん生日

家族といっしょにお買い物

帰ってきたら声がする

ピーピーピー

そばを見たら

すずめのヒナがいた

きっと上から落っこちてきたんだ

私はこのヒナを飼いはじめた

エサもわすれずにあげる

私はそのヒナのことを自由研究にした

毎日毎日、一枚ずつ書いていく

今日はこんなことがあった

明日はどんなことがあるかなあ

元気に育っていく

毎日がとても楽しい

でも、とうとうおとずれた

私が一番おそれていたことが

それは、ヒナの死

くもんから帰ってきたら

動かなくなってて

さわってみたら

氷みたいに冷たかった

なんで死んじゃったの?

不思議な気持ちと

悲しい気持ちが

心の中でからまってた

次から次へと

涙があふれてきた

いつかこの日が来るとは

思ってた

でも、涙が止まらなかった

その日は一日中

泣いてた

涙が止まらなかった

でも、うれしさもあった

ヒナを飼えたうれしさ

死んじゃう前に

この一言、言いたかった

「ありがとう…」

 

🌞ぼくも、スズメのヒナを飼った。羽のはえていない口と目のとても大きな赤いヒナ。同じ3年生の時だったよ。3日目に死んじゃった。悔しくて申しわけなくて…。

 万智さんの心の中にしまってあった思い出が詩になってあふれ出した。懐かしい思い出と悲しかった思い出が「心の中でからまっていた」みたいにね。

 

【詩】 書くことが無い      聡志

国語の授業 先生が

“詩を書いてください”

と言った。

初めはいろいろ頭の中に思いえがいていたけれど

どれも題名だけしかうかばない。

“書くことがないよう”

“内容がうかばないよう”

考えた結果こうなった。

自分はまだまだ未熟な人間だ。

堅い考えしかうかばない。

赤ちゃんのようなまるくやわらかい考えは

遠い昔に捨て去った。

でも、この堅い考えがこの詩を生み出している。

美点と欠点。

この詩を書いて

あらためて実感した。

今 堅い考えが自分を支えている。

大人になれば、堅い人間でおわってしまう。

でも、いいんだ。

人間だから。

 

🌞「書きなさい」と言われて書けないときってあるよね。でも、聡志君のそれは、ふつうのそれじゃない。もっと自分や人間を深く見つめている。『自分はまだまだ未熟な人間だ』って!『堅い考えしかうかばない』ぼくを、これでいいのか?って見つめている。

 聡志君!君が詩の中で“かっとう(葛藤)”する姿の中に、先生は(ぼくは)次への飛躍とやわらかな可能性を感じているよ。これからも、いくどもいくども自分を見つめて、もっと高くなろうって思いながら詩を書いて下さい。