卒業生に贈る言葉   2024,6,19ブログ

~『知り知り知り隊スーパーⅤ-1』№152(2004,2,9)号から

《はじめに》 学校に生まれる不思議な時間

 3月の初めころ『六年生を送る会』がある。各学年のいろんな出し物が用意される。歌や詩の群読などを含めてね。その会場を飾るのが、クラスごとに書いた『垂れ幕』。ギャラリーから吊り下げられる。

 これを子どもたちと話し合って決めた。その様子を伝える学級通信だ。

 読み終えてとても懐かしく感じるけれど、同時に、放課後の教室で実行委員や自主的に残ってくれた子どもたちとで『垂れ幕』の言葉を書いたり飾ったり絵を表現したり、その活動が楽しかったなあと思う。

 学校って不思議だなと思うけれど、授業や休み時間などの日常の時間の流れを外れて、こんな風に放課後の時間を過ごせると、何か特別の時間が流れ出すような気がする。教師であるぼくも、ふだん身に着けてしまった“教師くささ”をいつのまにか取り外すことができる。子どもたちは、日常の学校生活での表現を、軽々と越えて躍動する。ピチピチと飛び跳ねる感じだ。人間と人間とが自然体で向き合う感じになるんだよね。

 だから、少しくらい暗くなっても、そうした時間が楽しくてたまらないから、慌てて帰りのしたくをしない。

「先生、ここまでやってしまおうよ!」―そんな、子どもたちの声が、ぼくの耳に懐かしく聞こえてくる。(2024,6,19記)

 

はばたけ未来の勇者たち!

[1]児童会主催の『六年生を送る会』が1カ月後にせまって来た。5年1組の教室では、6年生に贈る言葉で何がいいかワイワイと話し合った。

 司会は、いつものように蒼空君と友樹君。決めるところは決めて進める見事な司会だ。

 初めに、みんなが一人ひとり考えてきた言葉を黒板に書いて読み合った。

 

《贈る言葉》

・未来にむかって ゴーゴーゴー

・はばたけ 未来の勇者たち

・六年生 新たな目標にむかって がんばって!

・一段一段 人生の階段をのぼっていこう!

・はばたけ 六年生 未来への階段はもうすぐ「そこだ」!

・飛び立て 六年生!

・中学校 部活 勉強 ガンバッテ!

・六年生 次会う時は中学だ!

・未来に向かって つっぱしれ!

・中学へ 希望の一歩をふみ出そう

・中学にいっても 小山台小学校をわすれないでください

・はばたけ 新しい世界へ レッツ ファイト!

・明日へとびたて 六年生!

・いつまでも思いやりをわすれない小山台生

・ひらけ 未来へのとびら

・飛び立て 六年生

・育んだ 夢の扉を開け放て

・六年生 夢を持って ひとり一人 強く心で思え

・一人一人 未来へ飛び立て

・自分を信じて 迷わず進め

・自分に迷わず つきすすめ

 

[2]ぼくは言った。

「みんなの言葉を読んで、一枚一枚に心がこもっていて感動しました。この言葉ならどれが選ばれたって、五年一組のクラス代表の言葉になります。

 真剣に考えてくれたみんなの熱い心がうれしいです。

 あとは、どれを選ぶかになるけれど、どれもすばらしいことを前提に、落とされてもガッカリしないで話し合いを進めてください」

 みんな、いろいろ発言した。

「長すぎたり、文章みたいのは感動を伝えにくいから、そういうのじゃないのがいいね…」

「……」

 話し合いの結果、最初に6つの言葉が残った。

①  はばたけ 未来の…

②  自分に迷わず…

③  育んだ夢の扉…

④  開け未来への…

⑤  はばたけ 新しい世界へ…

⑥  未来にむかって…

そして、最後に残ったのは次の2つ。

A はばたけ未来の勇者たち!

B 育んだ夢の扉を開け放て!

 多数決でAに決定!

 

[3]放課後、残って仕事をしてくれたよ …『たれ幕実行委員』たち

「クリ(栗)! ここ何色でぬるの?」

「黄色でいいかなあ」

「羽は、始めサインペンでやるか」

「ねえ、海の上を飛んでいるところにしようよ」

 金曜日の放課後、『垂れ幕実行委員』のメンバーが、委員会を終えて5年1組の教室に集まってきた。模造紙を真っ先にとりに来たのは、かおりさん。ぼくと2人でガムテープの裏打ちをした。それから、江里子さんとあゆみさんがやってきた。恵子さんは熱が出たのでおばあちゃんと帰った。良君は、この日はOK。次の日から仕事に加わる。帰りを待っていた愛詠さんが、4時半まで参加してくれた。

 鳥の絵を、こっちがいいかな、あっちがいいかなあ…と言っていて、やっと決めて、図工室からポスターカラーを借りて来て色をつけた。(ちゃんとY先生にことわったよ)

「先生、海の色って、どっちがいい?」

「いや、別々にね、光ってるみたく重なっている方が海らしいよ。上から見てごらん」

「先生って、図工の先生みたいだね」

「ハハハ! でも、上手くはないよ」

「ねえ、遅くなるから、もうやめにしないか」

「うん。ここまでにするね」

「先生、わたしたちのクラスって、早いんじゃない?」

「おそらく、全校で一番だろうね。5年生は忙しくなるからね!」