ヤマボウシ・アベリア・ネジバナ           2024,6,17ブログ

 ぼくの目にとまった道端の雑草と草木の話。

★ヤマボウシ

 長尾の里散歩コースの途中にある『あじさい寺』を出て坂道を下り、住宅地に囲まれた昔の農道跡を歩いて行くと二ケ領用水に出る。ここは今、濃密な6月の緑が水路の上を覆い、暗く、しかし涼しげなトンネルを作っている。

 その側に緑化センターがある。ここに寄った。

 この日、思わず心をとらえられた花木があった。

大きな植木鉢に植えられた高さ2メートルほどのヤマボウシだ。まるでツリーのように飾られた白いリボンがたくさん結ばれているように見える。花かな?と一瞬間間違いそうだし、光を受けて白く輝く十字架のようにも見える。

実際は花ではなく総苞片というらしい。白十字の真ん中に小さな花の固まりがあるという。初夏に咲く花だ。山里に咲いているのはもっともっと大きい。

 

 この日、ヤマボウシに心惹かれたのは、都留での思い出があるからだ。

 十日市場駅近くから『柄杓流川』沿いの谷を下りて行くと『太郎・次郎滝』がある。崖上から2つの滝が流れ落ちていて、夏の暑さを忘れさせてくれる涼しげな場所だ。

この場所をぼくは数度訪ねたことがある。

あれは最初に訪れた時だったと思うが、谷の反対側の崖に初夏の緑が鬱蒼と茂っていて、その中に白い光を放つヤマボウシを見た。ここでその名を初めて教えてもらった気がするが、誰に教えてもらったのか、それが思い出せない。

別の日、当時学生だったMさんが、宮下先生と美術科で講師をされている先生とぼくの3人を、車に乗せてこの滝まで連れてきてくれた。「滝をみながら熱いコーヒーを飲みましょう」と誘われて。懐かしい思い出だ。Mさんは、今K県で小学校の教師をしている。

 

アベリア

 散歩をしている途中、民家や公園の生垣に小さな白い花を見つけて、この花は何というのだろうと少し気になっていた。それがアベリアだった。

鐘のような白い小さな花をいくつも咲かせている。花の大きさは1・2センチ。ラッパのような形をしていて先端が小さく割れ、尖がり型をしているかわいい花だ。これが無数に咲いている。

何げなく歩いていると見落としてしまうような花だ…。今、たくさん咲いている。躑躅やサツキとは違う。もっと細やかでちっちゃな花だ。

 調べてみて『アベリア』という名であることを知った。

「ははん…そうか。『アベマリア』の真ん中の『マ』が抜けた名前だ…そう覚えておこう」

 これでこの花の名前は忘れなくなった。

 

ビヨウヤナギ

 5月の初めころから、住宅の庭や路地にこの花を見つけた。黄色い花と言えば春のヤマブキ、レンギョウが浮かぶ。でもそれとはどうも違うようだ。

 開花の時期が違うし花の大きさが違う。

「この花の名は何というんだ?」

 それでビヨウヤナギであることを知った。葉っぱがヤナギの木に似ているらしい。確かに…。

「うーん、そうは言ってもヤナギの木はもっと大きいのにな…」

少し名前に違和感を持った。しかし、面白い名前だからいつのまにか覚えた。ずっと昔の中国の宮殿と「ビヨウ」という言葉が関係あるみたいだけれど、詳しくはわからない。

花の大きさは数センチ、5弁の黄色い花に無数の金色の糸のようなおしべが煙るように立ち上がっている。それで華やかに見えるんだ。

 この花も、6月の半ばになった今、少しずつ道ばたに花びらを散らすようになった。

 

ネジバナ

 道ばたの雑草に心惹かれるようになってから、この花の名を知った。70を過ぎてからだ。

道路わきの花壇とは言えないような場所に、雑草が蔓延っているが、その横にひっそりと咲いているのがネジバナ。30㎝ほどの高さで、真ん中に塔のような緑の茎が伸びて、その周りを細かなピンク色の花がラセン状に巻き付いている。かわいい花で思わず足を止めてしまう。

見る人なんかいないだろうな…と思いながら。

調べてみるとネジバナの巻き付くラセンは、右回り、左回りの両方があるらしい。

「へえっ!」

 と驚く。

今朝は、FBに写真を掲載してみようかなと思って、先ほど携帯をもって家の前の道に行った。長い間座っているのはちょっと恥ずかしいので、数枚撮って帰って来た。

雑草だから切り取ってきて、小さな花瓶にさしておいても許されるかな。そしたらラセンの向きを確かめられるし、小さな花を虫眼鏡で拡大して見ることができる。

 

★ユウゲショウ

 これはブログで何度も書いている道ばたの雑草。かわいいピンク色の小さな花だが、最近、この花がけっこう増えて来て、ナガミヒナゲシのように周辺を支配しないか心配になってきた。

 

★ナンテンの花

 少年時代、わが家の庭にナンテン(南天)の木があった。表の庭にも裏庭にも。冬、鮮やかな赤い実をつける。12月、赤飯を炊いて重箱に詰め、その上に南天の葉っぱを一枚乗せて、寺や世話になった家に持って行った。これは、ぼくが頼まれたお手伝い。

それなのに、ナンテンの花についてぼくは気づかなかった。6月の今、ナンテンの木の先っちょから突き出すように細かい白い米粒のような蕾がついていて、これが無数に開いて小さな花を咲かせていた。一瞬、ぼくの目には、ちょっと枯れているようにも見える。それで、

「あれ? この花は何だろう」

 そう思って調べてみたら、「ナンテンの花」であることが分かった。恥ずかしい話だ。よく見れば、木々全体が南天そのものじゃないか。