教室に長い竹の棒を持ち込んで…理科・てこの授業   2024,6,2ブログ

     【知り知り知り隊スーパーⅤ-Ⅰ】№130(2004,1,13)号より

てこの原理ってすごいんだなあ!

[1]

 理科室の裏に倉庫がある。中には、黒土や腐葉土がビニルに入ってしまわれている。

 ぼくは、その袋、黒土の入った一体を運び出して、教室に持ち込んだ。20㎏くらいな重さがある。かなり重い。

 

 理科の授業が始まった。

 黒土を教卓に乗せて「持てるかな?」と話すと、いっぱい手があがる。

 黒板の前に、椅子と机を置いて、2つの間の距離を2mちかくとった。

「右から左へ動かせるかな?」

 と言った。

 やりたがりやのみんなが出て来て順に挑戦した。みんな、黒土を持ち上げる瞬間に、

「おっと! これは重いぞ」

 と、本気でつぶやき、「エイッ!」と気合を入れて持ち上げた。

 面白くなってきたので、ぼくは、もっと難しい課題を出した。

「よし、この黒土をもって教室一周に挑戦できるかい?」

「ハイ、ハイ、ハイ!」

 みんなの力があるのには驚いた。

蒼空君が回る! 博之君が、和貴君が、貴大君が、千晴さんが、良君が…。それからそれから、麗羅さんや奏子さんや、真季さんや愛詠さんが…。

聡志君は、指一本で「ウーン」と呻りながら運ぶ。真子さんは、片手で走るように…。

「おおっ!」

 と、教室にどよめき。

 あゆみさんは、背中に「ドッコイショ」と背負って…。

「あっ、これ、楽だよ」

 するとみんなが言った。

「おい。落とすなよ…」

 あゆみさんは、教室の後ろに行って本当に「ドスン!」と落とした。みんな大笑い。

 続いて、みんなから友樹君にリクエスト!

「つっか! 運んでよ!」

「ここは男一番、腕のみせどころ!」(ちょっと昔風の言い方だけどね)

 つっか、がんばる! 見事1周。パワーあるよね。

 

[2]

 さて、次にぼくは言った。

「かなり重かったでしょ。もっと楽に持てる方法はないかな?」

「猫車(農作業用の一輪車)で運ぶといいよ」(良)

「持ち手の人数を増やせば…楽!」(聡志)

「少しずつ、何度かにわけて…」(奏子)

「跳び箱を乗せて運ぶ台車に乗せる」(愛詠)

「中の土を坂にして流す」(貴大)

「肩に担ぐ」(一浩、博之)

「振り子のようにぶら下げて」(奏子)

「板に乗せて、真ん中に木を置いて、反対側を押す」(和貴)

 他、いろいろアイデアが出された。

 

[3]

「ちょっと待ってね!」

 ぼくは、そう言って教室から姿を消した。そして、教室に持って来たものは、3mはある太い竹竿。ぼくは、それを黒土の入ったビニル袋を十文字に縛る紐にひっかけて、黒土入りの袋との間に机を1つ置いて、反対側にのびた太い竹竿の先端を「エイッ!」と押し下げた。

 あの重い袋がスイッと持ち上がった。

「おおっ!」

 と、みんなの驚きの声。

 しかし、この先端を押す軽さはやってみないとわからない。

「やりたい子、いますか?」

「ハーイ!」

 手をあげた子全員にやってもらうことにした。竹竿が横ずれしないように、両わきを一浩君と良君がしっかりと持ってくれた。

 竹竿に袋を引っかけて「グイ」と竹竿を押せば簡単に袋は持ち上がる。

「わあっ、軽い!」

「えっ、今のさあ、ぼく一人で持ち上げられたの!?」

 みんな、あまりの軽さに信じられないって顔!

「これを何て言うか知ってる?」

 すると、みんなが一斉に叫んだ。

「てこ!(梃子)」

「“てこの原理”!」

 すごく、面白かったね。

 

【みんなの感想から】(一部抜粋)

☆博之 …おもしろかった。自分で“てこの原理”を使った。この原理を使うと、と~っても軽く黒土を運べた。

☆真子 …“てこの原理”をつかうと、電動で動いているみたいだった。すっごく不思議だ。おもしろいし、昔の人の知恵はすごいと思った。

☆あゆみ …初めてやった! 竹で運ぶやつ。ふつうに持ったより、すごく軽かった。びっくり、すごい! この原理って、日常でもふつうに使われているのか?

☆蒼空 …“てこの原理”―。あんなに重いものを、あんなに軽くするなんて! “てこの原理”ってすごいなあと思いました。