児童会祭り お化け屋敷を作るんだ!        2024,5,9ブログ

          『知り知り知り隊スーパーⅤ-Ⅰ』№80(2003,9,30)より

《はじめに》

 10月、児童会主催のお祭りが計画されていました。ぼくたちのクラス5年1組は学級会を開いて『お化け屋敷』をすることになりました。「えっ、お化け屋敷をするの!子どもたちの活動に意味あるの!?」…そんな否定的な声が昔は聞こえてきましたが、ぼくは子どもたちが決めたこの活動を、彼らのパワーが全開し、楽しさいっぱいになるようにしてあげたいなと思いました。夢中の“遊び的世界”を体験するなかで、子どもたちの身体の内側から何か迸り出るものを大切にしてあげたいと思いました。

 この頃は、『ハロウィン・パーティ』などは、まだ流行っていませんでした。ぼくは、日常をはみ出すような子ども世界があってもいいと思っていましたから、子どもたちが「お化粧していい?」と尋ねてきた時、「いいよ。思いっきりお化粧したり楽しいコスチュームも身に付けたりして変身してごらん」などと言っていました。

 以下、子どもたちの準備の様子を伝える学級通信です。2024,5,10

 

お化け屋敷をつくるんだ!

 聡志君が大きな段ボールを学校に持ってきました。

「よく持って来たね。どこかでもらったの?」

「お父さんが会社から持ってきてくれたんだ」

 貴大君とチームを組んで一心に段ボールをつなげています。何ができるのか…と思っていたら、今日分かりました。

「先生、これ四角くても井戸に見えるかなあ?」

「そうか。井戸を作っているのか。じゃあ、少し丸くするの、手伝おうか…」

                 ※

 有紗さんと万智さんのやることは、早くてびっくり。

「先生、白い着物持って来たよ」

「すごいや、見せて! ……わあ、こんなの着ていいの!?」

 二人はちゃあんと『お化け屋敷の作り方』の本を持っています。子ども用のかわいいお化け屋敷です。二人は、ケラケラ笑いながら、もう楽しい作戦をたてています。

                 ※

 麗さんと江里子さんがやってきて言いました。

「先生、体育館のボール借りてもいい?」

「いいよ。でも投げたりしちゃダメだよ」

「あのね、まり(毬)をつくの!」

「………!」

 ビックリして、ちょっとゾクゾクしました。

 まり(毬)をつく女の子が暗闇の中で…

「ひとつ、ふたつ、みっつ…」

「ギャーッ!」

 という感じです。

「いいよ。じゃあ借りておいで」

                 ※

 さて、他の皆は何をしてるかな…って見ると、蒼空君と龍輝君が燃えてきました。段ボールを細長く切り取って、寝転んでは調整しています。

「ぼくたち、ドラキュラみたくしたいんだよ」

「あっ、それいいですねえ!」

 二人は、どんなドラキュラの衣装を用意するのかなあと楽しみです。どうせなら、う~んとカッコよく決めてごらんよ。(※ところで、段ボールを背の高さ位に細長く切っているのは『棺』を作っているのかな)

 恵子さんと愛詠さんは、おもしろいことをしています。遊具のフラフープを教室に持ち込んで、糸をつけてクモの巣みたくしているのです。

「これ、通れないかなあ…? ああ、ダメかあ! でも、いいや」

 この2人はどんなお化けになるのでしょうね。

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 石川君と友樹君は、「ああだ、こうだ」と言って、ちょっと相談はまとまりません。

「おれ、冷たい氷でいいんだ」

「ねえ、ちょっと、これでも2人はパートナーなんだから聞いてほしいんだよね」

 友樹君が一生懸命誘いをかけています。

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 奏子さんと真子さんは……!?

「できたあ! 見て見て! これ、顔に見える?」

 新聞紙を丸めて人形づくりをしていました。

「見えるよ。それに顔をつけたら…」

 かわいい(?)顔がつきました。

 それで何してるかと思ったら、胴体を作っていました。

「布をかぶせるといいよ」

 と、ぼくが言ったら、何と2人は、

「先生、ここから赤い布をたらすの」

「絵の具で、ベタベタ、ボタボタ落としたいの…」

「おいおい、それはやめてよね…(怖すぎるよ)。もっと可愛いのでいいよ」

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 榊田さんは、パートナーとなる紗希さんがこの日お休みで、周りの手伝いをしたり工夫したり。何ができるかなあ。

 千晴さんとかおりさんも、何やらゴソゴソやっています。黒い画用紙を持っていったよ…?

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 そう言えば、吸血鬼につきものの大きなコウモリをみんなで作っていたね。こんなのが頭の上にヒラヒラ舞っていたら楽しいね。

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 さて、良君と和貴君と麗羅さんとあゆみさんは、どんな役かというと…、前半と後半の受付の役です。それで看板や飾りを作っているのです。

                 ※

 そのうちこんな声も聞こえてきました。

「先生、お化粧していいの?…」

 だから、ぼくは答えました。

「いいよ。お化粧して思いっきり変身しなよ」

 ぼくは、思います。

 怖いお化け屋敷でなくていいですよ。コスチュームをうんと楽しんで、可愛くて、素敵で、ちょっと怖いお化け屋敷にしようって!

 だから、みんな!

 小山台まつりの日、うんと変身しちゃおうよ!

 ぼくも変身しようかなあ!