高田敏子さんの詩『忘れもの』を読む③     2024,5,5ブログ

『知り知り知り隊スーパーⅤ-Ⅰ』№80(2003,9,18)より

《はじめに》

 今日は『子どもの日』。日本中の世界中の子どもたちが幸せに生きられるといいな。命が守られ、安心して暮らすことができて、心つなぐ友だちがいて、大好きなことに夢中になれて、明日が待ち遠しく感じられるように生きられたらいいな。

 ブログは高田敏子さんの詩『忘れもの』の読み③。子どもたちの自由に語り合う声が懐かしい。読んでいるとうれしくなる。

(2024,5,5記)

 

詩のイメージを深める (9月16日の授業より)

◆第三連、四連を読む

 

だがキミ! 夏休みよ

もう一度 もどってこないかな

忘れものをとりにさ

 

迷い子のセミ

さびしそうな麦わら帽子

それから ぼくの耳に

くっついて離れない波の音

 

千晴 …「だがキミ!」って、読者にいっているみたいです。

良  …呼びかけているんだ。

博之 …問いかけている。

貴大 …「だがキミ!」のところで。「夏君!」って言っているみたいです。

T  …「夏君!」そうだね。

真子 …わたしは、ここを読んで思ったんだけど、こうして話しかけて実際は実行してくれないと思うけど、なんだか話は聞いてくれるような気がしました。

              ※

良  …「もう一度もどってこないかな」…で考えたこと。きっとね、この作者は、夏が戻って来てね、去って行っても、またもう一回この言葉を言うんじゃないかな。

T  …おもしろいねえ!

聡志 …前の連がないと、一度夏がもどってきたみたいだ。

一浩 …この言葉は、この夏休みがとても楽しかったから言ったと思う。

愛詠 …楽しかったから、終わってほしくなくて、もうちょっと遊んでいたくて…こう言った。

貴大 …ぼくは、これを読んでいて、入道雲にのって(夏休みが)もう一回くればいいのにって思った。

良  …「忘れものをとりにさ」、だけど、ぼくは多分、麦わら帽子だと思うけどもうしまっちゃってね、もう一回使いたいって思ったんだと思う。

貴大 …この「忘れもの」って、夏に使った物いっぱいじゃないかな。

愛詠 …貴大君は、物っていったけど、わたしは思い出だと思う。

麗  …ここを読んでいて思ったのですが、本当にまだ「忘れもの」がどこかにちょっとあるみたいです。この人は、もしかしたら夏休みがもどってきても、何だかそれでも気がすまないみたいです。

博之 …これはね、その人の夢なんだ。

T  …ゆめ! あこがれ…だね! きっと。

真子 …本当に夏休みが戻って来てくれたら、わたしもうれしいです。

麗  …この夏休みは楽しかったけど、もう一回夏休みがきてくれたら、できなかったことをもう少しやりとげるのに…。そんな気持ち。

                  ※

千晴 …「迷い子のセミ」を読んで、この詩なんだけど、夏休みは親みたいだと思いました。それで「迷い子のセミ」というと、セミをおいて夏休みがいってしまったみたいです。

聡志 …千晴さんの発言でわかった。この「迷い子のセミ」っていうのが表現的に変だなって思っていたけど、それでつながってくるんだ。

友樹 …ぼくも、全然へんって思って…。でも、告白的に言うと、子どもを忘れて行っちゃうなんてひどいなあなんて思えてきた。

麗  …人でいうと、友だちとか家族とかと別れるみたいで、セミも人と同じで不安な気持ちになって涙を流してるんじゃないかと思いました。

                  ※

紗希 …「さびしそうな麦わら帽子」って、ひとりぼっちみたいです。

良  …なぜ「さびしそうな」って言ったか考えたのですが、使われなくなってさびしいんだと思う。

龍輝 …この麦わら帽子って、さっきの「忘れもの」のことかなって思った。

貴大 …この麦わら帽子で思ったこと。来年の夏まで出番を待ち続けているんだって…。

愛詠 …麦わら帽子ね、夏にプールで先生がかぶっていたでしょ。きっと冬なんかどこかにあって、「ああ、今年は使われないなあ」なんてそんな感じがする。

友樹 …麦わら帽子の気もちだけど、「もう一回かぶってほしいな」って!

真季 …「だれかかぶってよ!」そんなふうに言ってるみたい。

良  …そうそう! 一回でもいいからかぶってほしい。

博之 …この麦わら帽子は、さびしそうにだから、ポツンとあるの。

T  …うん、ポツンとある。

博之 …「ぼくの耳にくっついて離れない波の音」でしょ。一番の思い出は海なんだと思う。

和貴 …きっと夏の思いではたくさんあると思う。

真子 …きっと毎日聞いていたと思う、波の音。

一浩 …作者には海で遊んだ楽しい気持ちがある。

貴大 …今は、さびしい波の音のように聞こえる。

《ノートより》

蒼空 …きっと安らげる波の音だと思う。

恵子 …使われなくてさびしそうな麦わら帽子。

江里子 …なぜ夏休みにもう一度もどってほしいか。今年の夏にやれなくて、やれなかったことをやりたい。

あゆみ …母さんとはぐれちゃった迷い子のセミ。おいていかれちゃった。

有紗 …「夏休みよ」この言い方、何か呪文をとなえているみたい。麦わら帽子は、また来年の夏まで使ってもらえないからかわいそう。

麗羅 …れいらは麦わら帽子、秋でもかぶっているよ。えへへ。でもそれは去年までだよ。

万智 …「さびしそうな麦わら帽子」って、おいてきぼりにされてるみたい。来年の夏まで思い出の箱の中に…。

 

《みなさんへ》

 この詩、暗唱しちゃおうね。

 詩を暗唱すると、なんだか思わぬところで、ふっとつぶやきたくなって、幸せな気持ちがしたり、その場にピッタリで、あたたかで懐かしい気持ちがします。