3月のMカフェ、参加者の語りから ②      2024,3,27ブログ

 3月の『Mカフェ』に参加した若い教師たちの語りの続きです。今日は後半ですね。

 お話ししてもらったテーマは次の2つ。

「1年間、本当にお疲れ様。この1年を振り替えって自分にどんな言葉をかけてあげたいですか? それが1つ。もう一つは、春休みになったら真っ先にやりたいことは…?」

 本当は、もっとお喋りしたかったんだけど、2時間があっという間に過ぎてしまって…ごめんなさい。

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慎二さん …今年は教師になって4年目。これまで担任した学年は、2,2,2,1年です。春から、またどうも1年生担任になりそうで…。

 この1年、ぼくは学年の仲間にめぐまれてとても楽しく過ごすことができました。『めぐまれた1年だったなあ』というのが、ぼくがぼくにかけてあげる言葉です。

 保護者からのクレームのようなものがあって、いろいろ難しいこともあったけれど、主任もやさしいし、周囲のみんなも助けてくれたりして本当によい1年だった。

 それから、気づいたことなんだけれど、ぼくは今年のスタートでけっこう“学級のルール”をきちんとさせようとしてきたが、そんなに“締め付け”たりしなくても、子どもたちって意外と自分たちで何でもできて伸びて行くんだってことがわかった。

 今度は、もう少し子どもたちの様子をみてゆっくりと学級づくりをしていきたいと思う。

山﨑 …1年生ってかわいいよね。ハッと驚くような姿も見せてくれる。1年生ってかわいいけど、逆に教師の方が、1年生の持つ魅力によって“変えられていく”ってこともあるよね。

慎二さん …この春休みにしたいことだけど、火曜日と水曜日に仲間と集まって飲み会をします。それが楽しみ。

 

将人さん …東京都のE区の小学校に正規採用されました。春からそこの学校で働きます(拍手!)。

 今年は4年生の担任でした。それまで特別支援学級などの担任をしてきましたが、通常学級は初めての経験。いろいろ分からないことが多く、両隣の力ある先生のやり方を見ながら、それに遅れないように、あわせるように学級づくりや授業をしてきた。

 頑張ったなとも思うし、それもよかったとは思うけれど、今はもう少し自分のクラスを見つめて自分で考えて子どもたちと生活してきてもよかったなと思っている。

 学年の最終日前日の放課後、ぼくが知らないうちに子どもたちが黒板にたくさんの落書きをして帰って行った。「来年も先生だよね!」「来年も担任してね!」って書いてある。

 ぼくが転任することは、その日言えなかったけれど、離任式がもたれてぼくがいなくなることがみんなに伝わった。

 ぼくと子どもたちとが生きた時間が子どもたちの記憶の一部に残ってくれたらいいなと思った。

山﨑 …将人君の発言の中に、「両隣の先生のやり方を見てがんばってきて、それはよかったけど…」自分を問う視点があったよね。ぼくは、ここが素敵だなと思う。将人君という教師と目の前の子どもたちとでしか作れない時間や学びの空間があるってことを考えているんだ。

 何ものかに縛られたり心からの納得を奪われたりしたら自分らしさや学級の魅力が失われてしまうからね。

 そして、「子どもたちと生きた時間が記憶の一部に残ってくれたら…」って言った。大丈夫。きっと忘れられない時間として子どもたちの心に残っているよ。教師のしごとって、忘れられていいんだけど、大切にされたり楽しかったりした経験はあるときフッと甦って来て「先生に会いたいな」なんて思う。子どもたちとの日々を誠実に生きる時、子どもたちの内面に何かが刻まれて行くと思うんだ。

 ところで春休みは…?

将人さん …ぼく、お金がないんですよ。それでどこにも行けないかなあ。一日どこかへ出かけることができれば…って思っているんですけど。(「桜を見に行きなよ」とみんなからの声。笑いもね)

 

涼子さん …今年は初めての1年生担任。隣のクラスの先生は1年生を10何回もしてきたというベテラン教師。1学期は、私のクラスにいろんな子がいて、それをクラスとしてまとめながら何とか進めてきた。授業など押し付けてきたかな…と反省する。ふり返ってみて“自分の納得解”を模索していた。

 そうした日々を過ごす中で、「子どもを愛せるかな」と悩みながら夏休みを迎えた。それで、教科研大会などに参加してみた。ハワイにも行ったし…(笑)。

 2学期になってから、子どもたちへの“関わり方”を変えてみた。1学期中、母子分離ができなくて教室に入れない子が4人くらいいた。離そうとすると「ワーッ!」と大泣きする。しかし、その子たちが3学期になって母親と離れても泣かないようになった。子どもが変わってきたことがうれしかった。

 クラスで起こった出来事を学級通信で保護者に伝えた。毎日書いたわけじゃないけど…。通信は主任、主幹、副校長、校長と確認を取らなくてはならないんだけど、今日出したい通信が2週間もかかって帰って来た。それも赤字に直されて…。

 わたしは「もういいや!」と思って、もう印をもらわないで子どもたちに配ることにした。

 3月も終わり近くになって保護者からお手紙を頂いた。

 母子分離のできない一人の女の子には、わたしが家まで迎えにいくこともあったが、そのお母さんから「ありがとうございました」と感謝のお手紙をいただいた。他にも…。

 春休みの楽しみは、友だちとの飲み会が予定されていることです。仲間たちと…、それから高校陸上部だった仲間たちとも集まって…。

山﨑 …生きた学級通信が子どもの手から保護者の手に直接渡るから心がつながるんだよね。涼子さんのクラスは、あなたの出したその学級通信によってどれだけ豊かになったか測り知れない。クラスのできごとが2週間も、それも内容を直されて、教師の思いや子どものエピソードが消えていったら、教育的価値をすっかり失ってしまう。

 保護者は、生のあなたの姿や思いを知って、そしてまた子どもたちの生き生きした学級の生活を知って、どれだけあたたかな気持ちになっただろうか。

 

翔さん …ぼくは、教師になってから3年間、3,3,3と担任してきたの。今年は、振り返ることもできないくらい、いろいろあって忙しかった。授業記録を意識して何度かまとめていたけれど、昨年はそれもできなかった。子ども同士のトラブル、そして保護者対応等々。でも学年の先生たちがフォローしてくれて助けられた。

 子どもたちは2年生のとき4クラスで、いろいろな課題を持っていた。それが3年生になって3クラスになり、授業中話が聞けない状態だった。

 そんな中だけれど、少しずつ子どもたちとつながり良い関係が生まれていった。ぼくの授業中はワチャワチャしてるけど、自習などしたとき、落ち着いてちゃんとやっている。それがうれしかった。

厳しく言うこともあったけど、パッと切り替えて楽しい雰囲気もつくってきた。

 春休みの楽しみは、釣りに行くことかな。同僚2人から誘われて釣りに行く。2人は初めての釣り。

直子さん …最初はアジ釣りかな?

翔さん …ぼくは、ルアーを使った釣りをしたいんだけどね(笑)。それから、ジャイアンツのファンクラブに入っていたけど、今年はファンクラブはやめるつもり…。

山﨑 …監督が変わったから?(笑) 先ほど和樹君もジャイアンツファンだって言ったね。春休みの楽しみのひとつに野球観戦だって。珍しい! ここにジャイアンツファンが2人いたんだ(笑)

 

啓太さん …学びをつくる会、教科研大会など、久しぶりに対面でできるようになって、やっぱり対面っていいなと思った。会の始まりや終わってからみんなといろいろお話しできるし。

 ぼくは、公立に10年、それから私立の小学校の教員になって3年目を迎える。学校が変わった時、それまで作られてきた学校のやり方に慣れずとても戸惑った。子どもたちは、それまでのやり方が自分たちの世界で…。

 5年生を担任して、女子の幾人かのグループと関係を築くのがとても難しかった。この時、どうしていったらいいか周囲の人がアドバイスをしてくれるんだけれど、そのアドバイスが逆に苦しかった

 家にいるのが、学校にいるのが、教室に行くのが…辛い日々が続いた。

 新しい学校の2年目になって3年生担任となり、それから4年生を担任。この2年間、すごく楽しかった。教師を辞めなくてよかったなあと思っている。

 この間、昔勤務した公立の小学校が小中統合されて校舎がなくなるということで『ファイナルコンサート』が開かれて行ってきた。昔教えていた子たちが高学年になっていて、終わってから「サインちょうだい!」って、みんなが集まって来た。それで、いろんなところに書いてあげた。

 今年の4年生たちも、3学期最終日に少し時間をとってみんなで遊んだんだけれど、それが終わってから「サインちょうだい!」ってみんながやってきた。こちらもいろんなところにサインしてあげた。

 そして、心に残ることだけれど、いろんなことに一番反発する女の子がクラスにいて、何かやろうとすると食って掛かるみたいなところがある彼女だけれど、その子がお手紙をくれた。

「啓ちゃん(啓太さん)と、最初はどう対応していいかわからなかったけど、でもちゃんと話を聞いてくれてありがとう…」

 って。これ、うれしかったね。

 

木村さん …育休から復帰して3年生、4年生を担任しました。とにかく忙しい日々でした。総合学習、行事、それに子どもたちのトラブルなど、次々と重なって…。

 男の子たち数人への対応がとても難しかった。「授業やりたくねぇ!」「クソババア!」「死ね!」こうした言葉をつい口に出す。そして、いじめの問題も…。

 それでも、総合学習を通して初体験も多かった。多摩川での投網体験、獲ってきたドジョウやウグイ、そしてマスのつかみ取りなど…。子どもたちがダイナミックに自然と向き合う姿に心を動かされた

 3学期の劇の指導はちょっと苦手で苦しめられました。藤田先生にアドバイスなどもしてもらってなんとかやり遂げたけれど…。そうした中だったけれど、子どもたちが自分たちで劇を作りだしていく姿を見てその姿に感動した。

 その劇の中で、対応の難しかった男の子たちが、それぞれの持ち場で活躍していく姿を見た。自分の役を得て、それに夢中で挑戦している。照明係になった子も。みんな力があって役割を得ると輝くんだなあと教えられた。

 とにかく“洗濯機の渦”に巻き込まれたような1年だった。家では3人の娘がいて、それぞれに話しをちゃんと聞いてあげなくてはならなかったけれど、学校のことで精一杯になってしまって…。春休みは、家族の時間をちゃんと作ってあげたいなあと思っています。そして、藤田先生みたいに、少し体力づくりを始めないといけないなと思っています。