再び 若い仲間とトランプで戦う           2024,3,18ブログ

「17日、空いていますか? 遊びに行っていいですか?」

 携帯にそんな連絡が入った。3月13日のこと―。

 加奈さん(仮名)と茜さん(仮名)からのメール。2人は4月から故郷に帰り教師になる。

 17日、ぼくの予定はない。

「いいよ。午前10時半、M駅改札口前広場集合…でね」

 

 2人は昨年末、わが家にきてトランプで戦いあった仲間だ。

 その時、一緒に遊んだ現役教師・祐奈さん(仮名)にも連絡してみた。年度末のとても忙しい時期だから無理かなと思ったけれど…。

「17日、加奈さんと茜さんがわが家にやってくるの。再びトランプの戦いをするけど、来ないかい? 勿論、この時期大忙しだと思うから断ってくれていいけど…」

 すると祐奈さんから返信。

「午前中、仕事をして、午後から行きます。お正月に、家族と兄の子ども2人と、この間みんなでした遊びをやりました。5歳と7歳でしたが、しっかりルールを理解して大盛り上がりでした」

 そうなんだ。家族で遊んだんだ。

 続いて耕一君にも連絡した。今年度は、学級担任ではない。もしかしたら時間が取れるかも…。

「17日、仕事の余裕ある? 忙しいと思うけど、4月から教師になる若い2人がぼくの家にやってくるんだ。君も来ませんか?」

「大丈夫です! 行きます!」

 それでこの日、5人がわが家に集まりお喋りを楽しみながらトランプ遊びをすることになった。

 

 昼をどうするか?

「レストランに行って食事するより、パンを買ってきてお茶しながら食べればいい」

 ぼくはそう考えて、M駅改札口広場に集合した後、みんなを誘ってパン屋さんに行った。

 おいしそうなパンが並んでいる。目移りしてしまう。

「みんな、自分の食べたいパンを選んでね。祐奈さんの分は、とりあえずぼくが選ぶから…」

 ちょっと悩んだけど、祐奈さんには『コロッケパン』と『おいもパン』など3種類を選んだ。ぼくは『カツをはさんだパン』ともう1種類。

 加奈さん、茜さん、耕一君も、それぞれ好きなパンを選んだ。なかなかこれが楽しい。

 

 午前11時、自宅についてお茶しながらお喋りした。日本茶とお菓子。

 12時半過ぎ、祐奈さんがやってきた。テーブルにパンを広げて食べる。みんなで食べる食事はおいしい。ピクニック感覚だね。

ぼくは、紅茶を入れて配った。

茜さんと加奈さんが、パンを半分にするというので、パン切包丁を台所から取り出して渡した。

 昔、テレビで放送されていたアニメ番組にこんな歌があったなあ。

♪ビスケットいちまい あったら あったら ジョリーとぼくとで 半分こ

 ちょっぴりかなしく なったら なったら なみだも ふたりで 半分こ 

みしらぬまちで まいごになって ドキドキするのも 半分こ…

 

 食べ終えたらトランプ大会―。

 まずは『7ならべ』。

ゲームが終わるたびに順位を決め、勝利した者が一番下に手を置き(テーブルにはつけない)みんなが順に手を重ねる。重なった瞬間、勝利者が手を抜きみんなの手を叩く。勿論、みんなサッと逃げる。空振りになるときもあって大笑い。

 最初の勝利者は加奈さんだった。ぼくの手が叩かれた。やれやれ…。

 続いて、ぼくが一番になった。

「しめしめ! これでみんなを叩ける!」

 ぼくは、サッと手を抜き思い切り目の前にある手を叩いた。

「ピシャン!」

 と、小気味いい音がした。

「先生、本気で叩くんだから!」

 叩かれたのは茜さんだったね。みんな、大笑い。

すっかり子ども時代に戻った感じ。近所の子どもたちや親戚の子たちとこうやって遊んだっけ。

 

 つづいて『うすのろ』。4枚の同じ数字のカードを人数分集めてよく切って配布し「1、2の3!」で1枚ずつ右隣りに回していく。4枚のカードが同じ数字に揃った瞬間、前にあるコインを拾う。誰かがそろってコインが拾われた瞬間、自分のカードがそろっていなくても前にあるコインを拾うことができる。コインは1枚たりない。取れなかった子がアウト。そこで一文字ずつアウトの言葉を増やしていく。

勿論、ゲームを進める昔歌もあるんだけど…これは略。

 教室遊びでは、『ドラえもんアウト』なんて言葉はどうかな…と、ぼくは言ってみんなに紹介。ゼミ合宿でも楽しんだよね。

 

 ところで、この遊びに加奈さんが大いに燃えて、この戦いのために遊びに来たと言っていい。ゲームを進めている時、

「ああ、わたし胸がドキドキする!」

 なんて言ってる。そして、虎視眈々とぼくをアウトにしようと企んでいる。

 結局、ゲーム終了時点まで加奈さんは一度もアウトにならず。祐奈さんは一度だけ。ぼくと茜さんがコインを拾えずアウトを続けて“いい人”をやった。

 

 ところで、この遊びをしている時、まるで少年時代そのものみたいにぼくが激しく悔しがり、コインを奪い取ろうとするので、みんな呆れて笑った。

 でもね、人と人とが、こんな風に顔を向き合わせながら夢中でゲームを楽しむって、素敵なことじゃないかなあって思った。

 時刻は午後の3時を過ぎていた。みんなを駅まで送って行った。

 楽しいひと時をありがとう…。