詩一編とぼくからの言葉 ~6年3学期の学級通信の工夫~ ② 2024,1,12ブログ
≪はじめに≫…この部分は前回掲載したものと同じです。下欄に掲載した詩は前回とは違う子どもたちの詩です。
6年1組の3学期が始まった。3学期は子どもたちにとっても教師にとっても、言葉では説明できないくらい忙しい時間が流れていく。ぼくは小学校生活を終える子どもたちに何か特別のプレゼントができないかと思った。いろいろ考えて、子どもたちが2年間書き溜めた詩の中から、ぼくが好きな1編を選び、それをB4の学級通信に一日2人を載せ―ひとり半ページを使い―、下欄にその子の素敵な学級での姿とその詩から浮かび上がる学級の仲間たちの様子を描き出して添えて出すことにした。
これは、楽しくやりがいのある仕事となった。
本当は全員分の詩とコメントを掲載したいところだが、一定の配慮の必要性もありブログでは一部のみの紹介とさせていただく。今日から幾日かかけて掲載させていただく。(2024,1,10…山﨑記)
【詩】 11月23日
美和子
学校に行った…
一時間目からテストだ…
いやだ―漢字五十問
テストが終わった
二時間目 算数だ―
計算の練習問題があった
スラスラできた
「あれ?」
三時間目 テストがかえされた
百点!
「えっ!」
私って天才だったんだ―
「はっ!」
夢だった…
🌞 十二月の保護者会で名前を言わないで美和子さんの詩を読んだら、お母さんたちが爆笑しました。ぼくも初めて読んだ時、声を出して笑った。
美和子さんが宿題をきちんとやりきって美しいノートを提出するようになったのは、たしか五年生の三学期からだったか。計算がビシッと並んで、確実にやってある。
「すごいね、このノート!」
って、思わずみんなに紹介したような気がする。
「いやだ―、五十問テスト!」
と、声を出して叫ぶのはもちろん美和子さん。その素直で正直な姿も美和子さんらしくて素敵だけれど、やるべきこともきちんとやる美和子さんがいる。
「私って天才だったんだー」
なんて言えたら本当にいいね。でも、この詩を書ける美和子さんの自然な素直さが最高にのびやかでうれしいな。
【詩】 闇
勇
闇はくらい。
くらいが ライトをつければいい。
でも、
ライトでかざしても明るくならない闇がある。
それは、心の闇。
心の闇を照らすほうほうは一つだけ。
だれかと友だちになる。
そして、その人をまもること。
それで闇はきえる。
それが闇、闇なんだ。
🌞 勇君の詩のノートにぼくはこう書いた。
「勇君、君はどんどん、どんどん、大人になっていくんだね。心の闇を、それを一つ一つ克服していく方法まで考えているんだもの。すごいよ!」
と。
心が暗くなる時ってどんな時だろう。さみしくて、ひとりぼっちの時だろうか。ぼくは、つらいことがずっと続いたとき、
「ああ、この闇がいつか終わってくれたら!」
と思ったり、夜明けがいつもやってくるように、耐えていて光が射してくるのをじっと待っていたりするよ。
勇君は、闇を照らすのは友だちだと言っている。鋭い! ぼくもそんな気がする。誰かが心を寄せてくれて、友だちになってくれて、いろいろなお話ができたら何でも楽しくなるだろうな。
新しい挑戦も、新しい道も、初めて開けるドアも、いっしょに歩んでくれる友だちがいたら怖くないね。
【詩】 バスケットボール
裕也
試合中にバスケットボールのボールを持つと
打てる距離ならほとんど打つ。
そして山なりに高く打つ。
そのシューターにとっては
はいるのが一番うれしい。
はいらなかったらちょっとやだ。
その打ったボールがリングにあたらないで
スパッと入る音がすごくうれしい。
(※打つ…シュートをすること)
🌞 「11センチメートル!」
と、ぼくが言うと、みんなが「おおっ!」と、どよめいた。
そこは保健室。身長と体重を測っていた。ぼくが、春からの身長の伸びをひとりひとり「何センチ伸びたよ」ってつぶやいていてあげたんだが、裕也君のこの一年間の伸びには驚くばかり。グイッ、グイッ、グイッ! と、音をたてるように伸びていった。
裕也君は、バスケットが大好きだ。もちろんバスケットボールクラブに所属している。土曜のバスケットボールチームにも加わっている。
五年生の始めた頃よりずっとうまい。中でも見ていると、中距離シュートがいい。どこにあんな力がかくれているのかなと驚くくらいよく決まる。体が小さく沈んで、シュッと伸びて、ジャンプする。ボールがやわらかな白い手から空に放たれ弧を描く。リングにスパッと入る。
裕也君は心が落ち着き躍動している。