今日は、午後の1時半から都留臨床教育学会がある。


 いつもとは違って小さめのバックを肩にして駅へと向かった。

 鞄の中には、文庫本1冊、黄色い手帳、シャープペンシル、赤と黒の2色ボールペン、扇子…。中身が少なくて、気持ちも軽い。


 南武線に乗ると車内放送があった。事故のため中央線が遅れているとのこと。「困ったな…。特急が動いているといいけど…」

 

 立川駅で、途方にくれていると、遅れている特急列車がやってくるという。

あわててホームを右に左に走り、駅員さんをさがして尋ねた。

 「次の『あずさ』号は、大月駅に止まりますか」

 とまらず甲府までノンストップで行ってしまったら大変だ。2年ほど前、苦い失敗をしているからね。

 「とまりますよ」

 お礼を言って飛び乗った。


 大月駅で、ふたたびドキドキする事態に出あう。

 富士急河口湖線の駅員さんたちが7・8人JRのホームに並んで叫んでいた。

「次の河口湖行きは、3番線からです。成田エクスプレス河口湖行きです」

「…!…?」

 なんだそれは!聴いたことがないぞ。


 大月駅は炎暑の中。ぼくは、新しくつくられた冷房のある待合室に入って待っていた。

 

 来た!


 本物だ。巨大な象みたいな顔をのぞかせて、背の高い車両がゆっくりと滑り込んできた。

「自由席は一番前7号車です。特急料金はいりません」

「へえ、そうなんだ…」

 不思議な思いで、電車に乗る。


 都留文科大学前で下車すると、都留の大学院を卒業したYさんとSさんが降りてきた。

「先生、久しぶりです」

「臨床教育学会にきてくれたんだね」

「懐かしいです」


 改札口を出る。

 そこには、ゼミ生のIさんと3月に院を卒業したH君が待っていてくれた。

「お昼を一緒に食べよう」

と誘っておいたのだ。

 桔梗屋により、囲炉裏席にすわって5人で食事をする。

 それからゼミ室へ。


 都留臨床教育学会の本日のメインは総会と森博俊先生のご講演。


 お話は森先生の優れた研究実績を土台にしつつ、新たな子ども理解への展開と、その意義を、穏やかな口調で内容深く話された。

 快い感動に浸る。


 その会場には、けっこう顔見知りの人たちがいた。

 5年前、ぼくのゼミ生だった2人のMさんを見つけ、うれしい会話。それから、別のゼミ生だった幾人かも懐かしい思いで挨拶をかわした。

 3年生のゼミ生のKさんもアルバイトを終えて急いで駆け付けてくれた。

 「一緒にお昼を食べよう」と約束していたが、彼女はアルバイトが終わるのが12時すぎだったのだ。申し訳ないことをした。


 終わって、2人のMさんと坂道の途中にある小さなカフェにより、チョコレートケーキを食べながら、教師として生きる今の様子を聴く。


 大月駅から、立川まで休日快速の『山梨〇〇』(?)という名の列車に乗る。これもちょっとシャレていて、低い窓、髙い窓の席が用意され、何だか遊び心をくすぐられる。


 今日は休日。いつもとは違ったドラマがいっぱいあった。

 立川駅でも、花火大会が昭和記念公園であるとかで、浴衣をきた若者たちや多くの人であふれていた。