午後3時から、神楽坂にある教科研事務所で3つの会議がある。


 冷房のきいた地下鉄の電車を降りて駅の改札口を出る。

 一瞬、ぼくの身体は、周りの空気を激しく拒絶した。

 熱を持つ大気がひとかたまりになって、頭上からぼくの身体に向かって流れ落ちてきたのだ。


 地下に向かう階段をトンネルのようにして、地上の熱された空気が下方に向かうなんていうことが、ありうることなんだろうか。


 ぼくは、まとわりつく蒸気を払いのけるようにして階段を上った。

 暑さには弱いんだ。寒さにも弱いけど…。


 赤城神社の横の路地をうねうねと下る。

 途中、新しくできたコンビニで、8本入りのアイスキャンデーを2袋買った。

 「よかったら食べてください…」

と、部屋にいた教科研の仲間たちに言った。

 「へえ、懐かしいね。このアイス!」

 

 最初の会議は、教科研大会の『はじめの集い』の進め方とその準備について。

 霜村さんは若い仲間の教師が登場する場面を、若者たちの声を反映させて脚本化、佐藤博さんはYさんが作ってきた3月集会の場面を、短く分かりやすくコンパクトにまとめてきてくれた。

 霜村さんは、昨日の今日で、徹夜仕事のようだった。いざというときには、必ずやりきる彼の仕事ぶりに頭が下がる。

 ぼくは、ただいるだけ…。


 続いて4時から常任委員会。終わって6時から雑誌『教育』の編集会議。

 終了は9時。

 おなかがすいたので、時間のある者だけで近くの居酒屋に寄った。


 ぼくの前に中村さんが座る。学生を語る彼の眼差しと言葉遣いが、やさしくてあたたかい。まるで子どもを教える現場の教師になったようだね…とぼく。