夜遅く寝たのに、朝早く目が覚めた。


 「ワールドカップの決勝戦だ。このまま起きてテレビを見よう…!」


 猫のライラが眠そうにやってきてぼくの膝にのぼってきた。

 緊迫した試合が続く。パス、ドリブル…。防御から一転しての攻撃。

 球際の鋭いせめぎ合い。一瞬として目が離せない。

 面白いなと思ってみていた。

 

 終わって、朝食をとる。

 それから今日のやるべき仕事にとりかかった。


 それは、今回大東文化大学から頼まれた『教員免許状更新講習』の資料づくり。ぼくが担当する講座の題名は、『今日の子どもの特徴と教育の課題』―。

 レジメと資料の提出が今日までとなっていた。


 これまで読んだ本の統計資料や、今日の小・中・高校生の意識調査の結果などを見て、どれを当日の講義の資料として取り上げるか悩みながら考えていた。


 コンビニにコピーに行って、戻る。再び、暑い中をコピーに行って戻る。

 しかし、まだ整理がつかない。

 どうしても明日一日かかりそうだ。

 

 レジメの方は、昨日作り終えた。大学から、受講者の講習に対する希望を記した紙が送られてきたが、それを読むと、具体的な子どもたちとの関わりを話してくださいという要望が強かった。

 この要望に応えつつ、同時に、今子どもの生きる姿をどう見るかについて、ぼくなりに深く分析し、話していく必要があるだろうなと思った。


 午後の4時。一旦仕事をやめ、「気分転換に外に行こう」と思って、電車に乗り、新国立美術館で開催されている絵を見に行った。