里帰りしたゼミ生たちが、ときどきお土産を手にやってくる。

 ゼミの時間が始まると、何やら机の下でごそごそと音がして

「これみんなで食べてください」と声がする。

 その途端、「やった~」とみんなは手を叩く。

 きれいに包装された菓子箱が登場するのだ。


 1月のゼミの時間にも、お土産が机にならんだ。

「ああ!チョコレートだね。おいしそう」

 みんな一粒ずつ食べる。

「おいしいね」

「へえ、このチョコちょっと苦味があって、それがまたすごくおいしいね」

 4年生のゼミが1限で、チョコはちゃんと3限の3年ゼミへと手渡される。


 3限の時間もまたお土産が登場した。

 かわいいリンゴのパイ包みのお菓子だった。

 夜の学習会もあったから、そこでもう完売!


 ぼくも、ときどきだけれど、旅をした帰りにゼミ室へのお土産を買う。

 昨年12月の北海道の帰りにはバターサンドを買ってきた。

 喜んでくれるとうれしい。


 「先生、干し柿は好きですか」

 と、この日の帰りIさんから言われた。

 「大好きだよ!」とぼくは正直に答えてしまう。

 Iさんは、鞄の中から袋入りの干し柿を取り出して手渡してくれた。

 「頂いていいのかな。ありがとう。

 今日の学習会の帰りに、先生たちで一緒に帰ります。そのとき、少し食べさせていただくね」

 

 久しぶりの干し柿を電車の中で堪能した。

 白い粉が吹いていて、オレンジ色の果肉がギュッと詰まっている。

 秋からずっと軒先につるされていたのだろう。

 冷たい空気のなか冬の陽を浴びながら、思いを込めた人たちの手によって深く味わいのある干し柿が生まれたのだろう。

 「あま~い!」

 みんな口々にそう言いながらおいしくいただいた。 


 干し柿は自宅に持ち帰り、今日も大切にいただいている。