『絵本たんけん隊』―これは椎名誠が10年近く前、3年に渡ってクレヨンハウス主催(?)で開かれた絵本についての講演記録集。角川文庫になって書店にならんでいたので読んだ。


 最初読みだしたとき、いつもの椎名誠の文章とはリズムが違っていた。少し彼の世界に入り込むのに時間がかかったけれど、次第に子どもへの深い思いや、絵本についての思い、多様な世界への案内と具体的体験とがつながり、面白く読んだ。

 彼の思いは、少年期へのまっとうな願いと、その豊かで味わい深い意味とを、まっすぐに伝えてくれる。そして、絵本が同時に、一枚一枚の絵の表現を通して、大人には大人の、あるいは子どもには子どもの、それぞれの時期にふさわしく、またそれぞれの抱える人生の個性的意味とつながって、対等に深く感性の部分を揺り動かすことの意味の大きさをつたてくれた。


 ああ、こうした見方もあったんだな…と教えられる。


 昼過ぎ、JR新幹線の切符を買う用事があって駅へ出かけたのだが、つい本屋さんに足をのばす。そこの児童書の棚をのぞくと、マリー・ホール・エッツの『もりのなか』の続編『またもりへ』があった。

 子どもたちが幾人か本棚の前で座り込んで本を読んでいたので、ついぼくも絵本を取り上げて読む。


 椎名誠は、自分の子どもたちに例えば『3びきのやぎのがらがらどん』を何百回読んだかもと書いてある。そうだよね、子どもは気に入った絵本を、なんどもなんども読んでとせがむ。

 ぼくの長女などは『やこうれっしゃ』などがとてもお気に入りだったな。