S学院での授業を終えた後、二人の先生と新さっぽろ駅前の居酒屋にでかけた。タクシーが雪道を走り抜けていく。積もった雪の向こう側で、二人の女子学生が、バスを待ちながら何が楽しいのだろう体を軽くぶつけ合っておしゃべりしていた。

 

 駅に着く。T先生は、飲食店のならぶ地下への階段を下りていく。

 そこは、ちょっとおしゃれな感じのお店だった。

 ぼくが中に入ると、衝立の向こうから朗らかな笑い声がもれてきた。そして、その声はこちらに向かってくる。O先生だった。

 「お久しぶりです!」

 互いの手を取り合って握手した。

 そこには、二人の若者がいた。


 「じゃあ、ちょっと乾杯といきましょう。それから、互いに自己紹介も」

 ぼくは、アルコールがダメなのでジンジャエール。

 出て来る料理がおいしいこと!


 少し歓談していると、そこに登場したのはA先生。

 釧路の大会が終わった後、雑誌教育の座談会に出ていただいた。二度目の出会い。

 集まった仲間は、ほぼ同世代。T先生は少し若い。勢い、60年代後半から70年代初頭の大学生活や学生運動等の話題となった。それに、先ほどの若者が加わって、映画論などが始まる。


 話がはずみ、気づくと時刻は10時を過ぎていた。

 「明日は、何時の飛行機ですか」

 「午後の3時半です。これからホテルに帰ってゆっくり寝て、少し街を散歩して帰ります」

 明日の朝早く学校に向かう二人の先生には、何だか申し訳ない気持ちがした。


 新千歳からの電車がきた。暗い窓ガラスの向こうに雪原と雪を抱く冬枯れの木々が繰り返し飛び去っていく。座席に座ったA先生が気持ちよさそうに目を閉じている。