都留の大学まで片道2時間かかる。往復4時間の列車の旅―。
この長い行き帰りの時間は、ぼくの読書タイム。推理小説、児童文学、教育書、それからエッセイとか小説を読む。
「この分厚い本を持ち歩くの」
と笑われたのは、宮部みゆきの『偽証の法廷』3部作と横山秀夫の『64』。
本当に厚くて重い本だ。それでも面白いから鞄に入れて読んだ。
今回の旅で楽しんだのは、椎名誠著『三匹のかいじゅう』―。
面白い書名をつけるのが椎名誠だけれど、これは題名をよめばすぐわかる。
三匹の怪獣―つまり小さな3人の子どもたちと『じいじいシーナ』の物語。
あのベストセラー『岳物語』に続く『シーナ家』の私小説世界。
この間に『続岳物語』があって、『大きな約束』、『続大きな約束』と続いていた。
いまブログを書くために玄関脇の廊下の本棚から椎名誠の本を探してみた。
「あれ…?肝心の『岳物語』がない。あの本はどこにいったんだっけ」
しばらく考えて、本の行き先を思いつく。多分そうではないか…と。
確か、あの本が出たとき、面白くていろんな人が読み継いだ。
我が家に本を借りに来る方もいらしたっけ。
長女が誕生して、二重保育をしなければならない頃、初めての町で、おそるおそる保育を頼んだ『ちゃーちゃん』がその人。二人の娘のお世話をしてもらいその後、家族のようにおつきあいをさせていただいている方だ。
読書が大好きな方で、5・6冊まとめて我が家から本を借りていって返しに来る。
それから、妻が若い頃はけっこう本が好きで、―松本清張などお互いに読んでいて、「あれは面白いね」なんてやっていた。その彼女が、友人たちに『岳物語』が面白いからと貸してあげていたような気がする。
結局どうなったのかわからないけれど、おそらくあの本もあちこち旅を続けていたように思うから、よしとしよう。もしかしたら、我が家の本棚の底や倉庫から出て来るかもしれない。
「あっ!」といまこの瞬間、もう一つの本の行き先をおもいついた。
それは、学校の教室の本棚。退職をするとき児童書をほとんど後輩に譲ったり、教室の本棚に置いてきた。うん、意外とこれが真実かも。
あの本は5・6年生だったら充分楽しめたから。
「あっ!」
またまた思いついた。ぼくは、40代を越えるころから、クラス担任を終えて子どもたちと別れるとき、学級文庫から1冊だけ好きな本を持って行っていいよと言ってプレゼントしていた。あの本を好きな子が持って行ったような気もする。ハードカバーの本は、あげなかった気がするが、「どうしても」と言う子にはあげていたっけ。
あれこれ書いているうちに、忘れていたいろいろなことが思い出されてきた。
懐かしい。