先日紹介した児童文学者の岡田潤さんの本に、アーサーランサムの書いた本のことが出ていた。うれしく読んだ。

 全巻読んでいる人は特別な思いがある…、そんなことが書かれていた。

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 ぼくがアーサーランサムを読み始めたのは、50代になってから。読み始めて「子ども時代に読んでおけばよかった」とつくづく思った。

 この間、しばらく宮本輝氏の「流転の海」を読んでいて新潮文庫の第5巻を読み終えてしまってさみしくなり、再びランサムの『ヤマネコ号の冒険』を読み始めた。

 きょう本屋さんに行ったらアーサーランサムの『ツバメ号の伝書バト』上下巻が出ていた。

 裏表紙の見返しをみるとランサム・サーガ全12巻、24冊と書かれている。ぼくは、やっとランサム愛読者たちの半分あたりに近づいたというわけだ。

 何とかぼくも全巻を読み切る仲間になりたい。

 それにしても、少年期にこれを読んでいれば、冒険を生きるということの圧倒的な意味を内面に蓄えられただろう…。そんな思いがする。


 しかし、ぼくは、少年時代、そうした活字や本の世界に深くかかわれなかったけれど、村の子どもとして山の中、田んぼ道を夢中でかけめぐり、それなりのお手伝いもして少年期の物語世界を生きてきたのだから、それもよしとするしかない。ただ、そうした現実を、本の世界と結び合っていたら、もっと自己の経験の意味を深く味わえたのかもしれない。