秋


空から秋が降ってくる

ぼくの頭上に無数の柿の実

夕陽を映したような鮮やかな赤色

熟した汁が空から滴り落ちる

天空の酒か

秋祭りの夜 星たちが 

歌い 飲み 踊り 酔いつぶれ

はらはらと滴を零しながら

秋卓に忘れていった


秋の日が山の端に向かう

柿の実が金の鈴の音を響かせる

刈り取られた村里の稲穂が 

微かに揺れて歌う

鳥たちが聞き耳をたてる

無言の歌が聞こえているのだ

一仕事終えた年老いた農夫と 子どもらが

ひそやかな言葉をかわし

何かうれしそうに

秋色に染まる村の中を帰っていく


ぼくは 柿の実を一つ背伸びしてとる

古い竹先に小枝をはさみ

金の鈴の音を鳴らす赤い実をとる

切り取られたカンバスの秋がふるえる

ささやぶに子リスが走る

ぼくの手のひらには 

秋の塊ひとつ