「若い教師向けの本を、吉澤潤さんが夏の大会で紹介してくれるって」

 田所さんが言った。

 「10冊ずつ用意してくれる…」

 数を聞いてびっくりした。10冊という数が大変な数であることをぼくは知っている。1冊の本を手に取ってもらうだけでも大変なことなのだ。

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 ゼミ室の本棚から、最近出版した本を段ボールにつめた。

 『みんな悩んで教師になる』(佐藤博・山崎隆夫編、かもがわ出版)10冊。

 『教師のしごと』(佐藤隆・山崎隆夫+25人の若い教師たち編、旬報社)10冊。

 いま教育書を、しかも丁寧に読み進めていく本を、手にする人は少ない。そんななかで、ゆっくりと自分の教師としての在り方を問いながら、本を読み進めてくれる若い仲間が増えてくれることを願う。

 上の2冊は、かなり読みやすい。しかし、それでも読み進めていくと、自己の人生と向かい合い、教育とは何か、どんな生き方をしたらよいかが、問われてくる。同時に「ぼくらしい(わたしらしい)創造的な仕事をしたい」と強い憧れを持ってくれるように編集した…つもりだ。

 この本が誰かの手に渡ることがうれしい。

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 宮下聡さんや古くから友人の全生研の林生信さんから『教室詩集 ―ぼくたちの宇宙―』の感想と一緒に「本を10冊送ってください」との連絡があった。少しだけコメントの一部を紹介させていただく。


 林さんから…。

≪…ブログで詩が登場すると、一服の清涼剤のように感じていました。山崎さんの追求している世界の「しんどさ」や、特に若い教師や教師をめざしている若者への寄り添いに、重さを感じていたものだから…≫

 それから林さんらしい様々なコメントが2枚の葉書いっぱいに続いていく…。ぼくと林さんの共通する友人たちに本を紹介し渡してくれるという。感謝。


 宮下さんから…。

≪…。ほんとうに心温まる本に出会えました。最初の詩、ふと…のように、私も来年3月を迎えることができるのだろうかと思い、ちょっと目頭が熱くなりました…。プレゼントをふくめいろいろな人に薦めたいと思いますので、とりあえず10冊ほど送っていただけないでしょうか≫

 ぼくはすぐメールで連絡をした。

「無理をしないでください。10冊の本を誰かに買ってもらうなんてとても大変なことです。その困難はよく知っていますから…。余った分はまた遠慮なく私が引き取ります」と。

 10冊を郵送するとすぐ返事をいただいた。

「本が届いたとき、もうその場で5冊なくなりました。心配しないでください」と。

 うれしいお話しだった。


 ここには紹介できないけれど、みんな忙しいなかで、ギリギリのところで毎日を送っているというのに、本を読んでくれた感想など送って下さることに深く感謝したい。ありがとう。