夕方、自宅近くの駅に向かう。マンションの前の道に立つと、風に乗ってどこからかクチナシの花の匂いが漂ってきた。まだ、花が咲くには早いかもしれない。気のせいかな…。

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 夕方の6時半から雑誌『教育』の編集会議がある。事務所は地下鉄神楽坂駅から徒歩5分。駅には6時に着いた。ちょっと会議までには時間がある。

 坂を下ると飯田橋だけれど、反対に早稲田の駅のある方に向かって歩いてみた。カフェを見つけて扉を開ける。


 1階は全部禁煙席、2階が喫煙席となっていた。

「カフェオレをください。小さなカップでいいです」

「はい、220円です」

 足のつくカウンターに座って田中昌弥先生の講演記録を読む。ブックレットになっていて、読み応えがあった。

 水曜日の公開ゼミに出席して下さった昌弥先生が、翌日わざわざゼミ室に届けて下さった。

 題名は「希望をつむぐ学力」。山梨不登校の子どもを持つ親たちの会で語ったものだ。

 面白く、そしてたくさん考えさせられて読んだ。

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 編集会議は8時半ころ終わった。いや9時を過ぎていたか。

「ちょっと飲んでいきませんか」

 そんな声につられて居酒屋に入る。気づくともう11時だ。

「この時間で帰れるかしら…」

 片岡先生が携帯で電車の時刻を調べていた。12時には着くみたい。

 ぼくは、九段下から座れていつの間にか寝ていた。起きたときちょうどぼくの家のある駅だった。乗り過ごさなくてよかった。