良く晴れた一日。エレベーターの前で、二つとなりのおばあさんと出会った。コロコロとキャスターを引いている。
80歳くらいかな。白髪でゆっくりと歩かれる。
会釈してお話をした。
「お出かけですか」
「一人だと家に閉じこもってばかりで動かなくなってしまうんですよ。それで、ちょっとそこまで買い物に行こうと思いまして」
「暖かくなりましたね」
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玄関ホールを出て、少しご一緒する。ぼくは言った。
「八重桜の花、きれいでしたね。でももうすっかり散って、あっというまに緑の葉が茂っています」
「本当に! 私の家の窓からみる八重桜はきれいなんですよ。部屋から満開の八重桜を楽しみました」
青々と茂る若葉。足元に散った八重桜の花びらは、今はもう茶色の小さな無数の塊となっていた。みんな土に帰っていく。
※
夕方、近くの堀端をゆっくりと10分ほど走って、ちょっと膝に違和感があって後は歩いた。畑の小さなビニルの覆いから野菜の葉がいくつかちょこんと飛び出している。昨日はまだ何にも見えなかったのに…。
学校では1年生が朝顔の種を植えたかな。
「早く芽を出せ! 朝顔のタネ!」だね。
1年生が毎朝、水やりをしながら嬉々としていた姿が目に浮かんでくる。
3年生や4年生は、ナスとかへちまとか植えているのだろうか。