三沢直子さんが講師をしている学習会でお話をすることを頼まれて、今日は新宿に出かけた。

 三沢さんは、90年代の終わりころ『殺意を描く子どもたち』という本を学陽書房から出版して大きな話題となった。子育て中のお母さんや、保育者をはじめとする子ども若者の支援をする人たちの、交流や学びを支え続けている。誠信書房からの専門書も何冊か出版している。

 ぼくの教室の子どもたちの生きる姿を、NHKがETⅤ特集『心の闇を越えて』で放映したが、そのときもお世話になった。

 三沢さんは、ぼくの教室にやってきて子どもたちの声や願いを、丁寧に絵を通しながら語りかけ聴き取ってくださった。

 そのとき、驚いたことがあった。子どもたちの心の中に隠された思いや願いが、様々なかたちで一枚の絵のなかに表現されていたからだ。

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 三沢さんのぼくのクラスの訪問は二年間続いた。三沢さんに指摘されて、子どもたちの豊かな変化に驚く。

 『聴き取る』こと『寄り添う』こと、教室の子どもたち一人一人の声を、生きる物語を、“一枚の布を織る”ようにつなげあっていくことを大切にした。そして『交わり深まるように、心広がるように』を自分自身の合言葉にして日々の実践を築いていった。それが、子ども世界を確実に変えていっているというのだ。うれしい指摘だった。

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 終わって少しお茶を飲み、ぼくは紀伊国屋に行った。帰り道は人でいっぱい。

新宿駅も渋谷駅も、人、人、人…。

 今日は土曜日だ。駅で人待ちする若者たちであふれていた。