ケーキを食べながら

 今年最後のゼミとなった。

「ゼミのクリスマス会ができないから、今年最後のゼミは、ケーキでも買ってきて食べながらやろうか」

「賛成!」ぼくの提案は異議なく可決。

 今日は、その日。

 朝の1限は4年ゼミ。一番のりは、いつもの通りOさん。それから、ワイワイとみんなやってきた。手に手に、絨緞のゴミをとる『コロコロ』を持って。Gさんたちは、雑巾まで持ってきてくれた。

 それから、ケーキ買出し組と掃除組に分かれて仕事開始。

 つまり、最初はゼミ室の大掃除。部屋は玄関で靴を脱ぐ構造で、全体が床作り。暖かな感じが伝わってきて過ごしやすい。

「見て、みんな。一マス掃除しただけなのにこんなにゴミだらけ!」

 きれいだと思っていた床から驚くほどのゴミ。みるみるきれいになっていく。

 買出し組が帰ってきた。ピザにおかしにケーキがあって、それを囲みながら一年を振り返った。それぞれが深い思いを抱えながら成長し今日を迎えている。

 300円のプレゼントを買ってくる決まりになっていた。それをくじ引きで選ぶのが楽しい。わずか300円だというのに、みんなのアイデアがつまっていて楽しかった。

               ※

 午後からは3年生のゼミ。Mさんがくまさんの顔のケーキを買ってきた。

「何だか切るのかわいそう」

「Tちゃんがいないね。…だけど学童のクリスマス会だからね!」

「よし、一年を振り返り小さなゲームをしよう」

「えっ…!」

 ぼくは小さく切った紙を配る。

「上に名前を書いて。それから1,2,3と番号を振る…。できた?」

 みんな、何が始まるんだろうとちょっと不安げ。

「そこにね、君たちのみんなに紹介していい今年の3大ニュースを書いてください。そのニュースをぼくが読むからね、誰が書いたか当ててください!」

「ええっ!面白そう。やろう、やろう」

 うんうん唸りながらみんな書いた。それを秘密の籠に入れる。ぼくは取り出してシャッフルして読む。

 みんな身近だけれど楽しい秘密を書いてくれてキャーキャーワイワイ楽しいひと時となった。

 そんな中でSさんが言った。

「先生、Sケンのやり方を教えてください。わたし、今度の体育でやってみたいのです」

「よし、やろう」

 声をかけてみんな運動場に出る。靴でSの字を書いて二チームに分かれてSケンをした。少しずつみんな本気になる。線をはさんで敵と引っ張り合ったり、ケンケンで向かい合い闘いあったり…。その様子は小学生のSケンと同じだ。

「楽しかったね!」

と、みんなが答えてくれる。ぼくもうれしい。

「Sケンをね、子ども世界に広げてくれるメンバーが生まれてうれしいよ!」

 心からそう思った。Sケンを取り入れた学級づくりの様子は拙著『パニックの子、閉じこもる子達の居場所づくり』(学陽書房)に詳しい。

 子ども世界に子ども期を復活させるような楽しい取り組み。みなさんも是非挑戦してみてください。