クリスマス・コンサート

 昼過ぎ、葛飾吹奏楽団の『クリスマス・コンサート』に出かけた。

Tさんがこの楽団に所属していてチケットを購入した。会場は『かつしかシンフォニーヒルズ』。

1時、京成線の青砥駅へ。開演は2時。まだ時間がある。道沿いのレストランに寄って昼食をとった。混んでいる。近くのテーブルから聞こえてくる会話に楽器の名前が登場する。

「みんなコンサートに行く人たちなんだ」

ぼくは心の中でつぶやいた。「ぼくもその一人ですけどね…」

「1時半にここを出れば充分間に合う。まだ急ぐことはないわ」

 そんな声が向かいの席から聞こえてきた。

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 会場は大きな建物だった。ベルが鳴って幕が開く。

第一部はジュニアバンド。クリスマスソングとパイレーツ・オブ・カリビアンが、物語風に交互に演奏される楽しい企画。小学校の4年生から中学3年生までが団員だとのこと。今日の日を楽しみに練習に励んできたんだろう。

第二部は、シンフォニックウインドオーケストラの登場。ここにTさんがいる。クリスマスを祝う音楽が背後の映像つきで次々に演奏される。最後は『ジングル・ベルinwing』。軽快なジャズのリズム。体が動く。

第三部はマーチングバンドによる音楽のパフォーマンス。

終演は3時40分頃。気持ちのいい時間を過ごさせてもらった。

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人ごみであふれるロビーに演奏を終えたTさんを見つけた。コンサートをやりとげた充実感が、体全身にあふれているように見える。

「楽しかったよ。お疲れ様…」

 二学期末の忙しい時期なのに、こうして吹奏楽団に所属し、休日も練習してクリスマスコンサートに挑戦するパワー。驚く。

 階段を降りると先を歩く大谷さんご夫婦を見つけた。

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「席はどのあたりでしたか」とぼく。

 駅への道を歩きながら少しお話をした。

「高校時代はブラスにいてクラリネットを演奏していたんだ」

 大谷さんは指揮者もしていたとのこと。凄いなと思う。

 それから木村百合子さんの裁判のことを話す。

「よかったですね。新聞にも報道されましたね」

「テレビのニュースでも取り上げていたよ」

「えっ、本当ですか」

「報道ステーションがずっとあの問題を取り上げていたからね」