ドミニカ共和国のお話

 学びをつくる会の11月集会が、午後の2時から法政大学で開かれた。参加者は若い仲間を中心に20名を越えた。

今日は、その仲間の一人、坂井ゆりかさんの報告。

3月まで2年間にわたりドミニカ共和国を訪れ、青年海外協力隊のメンバーとして活動した体験のお話。とても楽しかった。

坂井さんのドミニカ共和国体験記は、この『学びをつくる会』のホームページのブログで読まれた方も多いだろう。

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ドミニカ共和国は西インド諸島、カリブ海に浮かぶ島の一つ。キューバの隣に位置する。名前はイスパニョーラ島。西半分がハイチ共和国、東半分がドミニカ共和国となっている。ハイチはフランス語、ドミニカはスペイン語が話されるという。かつての植民地主義の歴史が色濃く反映されている。

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坂井さんのお話を聞きながら、ぼくは主として3つの感想を持った。第一は、彼女のしなやかな生き方に感動した。日本とはまったく違った言語や文化の中でドミニカの人々と暮らし始めたとき、わかりあえないこと、通じ合わないことが多かったという。しかし、彼女は、そこでたじろがない。むしろ、分かり合えないこと・通じ合えないことを歓迎し、そこで『わたし』がどう生きるかを試してみたかったという。彼女の持つ若いエネルギーの凄さに感動した。

第二は、ドミニカ共和国の教師養成学校の生徒たちに、創意をこらした指導法を工夫し伝えようとしていく。そのアイデアや意欲が素敵だった。

第三は、2年間の体験を終えて帰国し、再び日本の学校の教師として子どもの前に立つのだが、日本の学校に流れる忙しさや時間の緊迫した流れに驚きと戸惑いを感じていること。ぼくは、この感覚がいいなあと思った。

坂井さんは次のように話した。

「(毎日の事務や対応について)消化できず、学んだことを生かしていきたいのですが何をしてあげられるか思いつかない半年でした」

 ぼくは、これでいいと思った。日本の学校の競争と効率を強いる異常さが相対化して問われていると思ったからだ。

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 そのほか考えさせられたことは山ほどある。『幸せの尺度』について。ドミニカ共和国の人々の方が日本よりはるかに『幸せを感じる』度合いが高いというのだ。勿論、貧富の差は激しいというのに…。

 佐藤博さんが鋭く次のように語った。

「日本は何という国なんだろうね。勉強をして不幸になっていくんだから…!」

 坂井さんの次の言葉も深く心に残る。

「日本にきて気づいたことですが、子どもたちに“まっすぐ”伝えようとするのですが、“まっすぐに伝わらない”のです。そこはなぜなんだろうと考えていますが…」

 日本の子どもたちの、生きることへの真摯な感動や他者の声を真っ直ぐに受け止める力が、弱められたり歪められたりしているからではないかと、ぼくは思った。これも考えねばならぬことだろうな。