吹きつける雨

 土曜日は、娘たち夫婦が来て箱根で昼の食事をした。昨夜から降り出した雨は朝になって一段と強まり風交じりとなった。風の塊が、ときおり木々の葉を巻き込んでガラス戸に当たる。すると雨は滝のように曇りガラスの向こうを流れ落ちる。それでも、レストランで働く人たちは穏やかに給仕を続けている。

「こんな嵐のような日でも店を開くのですね。みなさん落ち着いていらっしゃる…」

ウェイターに話しかけた。

「一年のうちには今日よりもっと凄い日が何日もありますよ。それでもたいていお店は開いています」

 少し興味があって私的なことを尋ねた。

「みなさんは、ここまで通われているのですか」

「いいえ、寮があります。そこに泊まってこの店にやってきます。この近くの仙石原あたりに自宅を持ってらっしゃる方も多いのですが…」

 ぼくのつまらない質問にも丁寧に答えてくださる。

 時刻は2時を過ぎていた。もう来店する客はいない。

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「よかったら、食後のコーヒーを別室で如何ですか」

 ソファーに座ってコーヒーを飲む。それから娘の連れ合いが車を走らせた。車が風で舞い上がるのではないかと心配するが、森の道に入るとだいぶ当たりは穏やかになった。

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 三浦しをん著『舟を編む』を読む。国語の辞典づくりに命をかける編集者たちの生き様を物語にして語る。それから、朝日新聞教育チームによる『いま、先生は』(岩波書店)を読む。この本は、朝日新聞の連載記事が加筆されたもの。スタッフの中心を担った氏岡真弓記者が来年1月21日の『学びをつくる会』の全体会で講演してくださることに決まった。とてもうれしい。多くの人たちに参加してほしいなと思う。