勇気を与えてくれるアピール

 「大阪維新の会」が府議会に提出している『大阪府教育基本条例案』に反対するアピールが発表された。『条例案』には、教師が校長の相対評価で二度D評価になったら免職もできる、教育の目標は知事が決める等々、信じがたい内容が書かれている。それに反対する勇気あるアピールだ。

 呼びかけ人は、佐藤学、小森陽一、市川昭午、尾木直樹、小野田正利、高橋哲哉、野田正彰、藤田英典、池田香代子、竹下景子ら各氏10人。賛同者は17日までに58名にのぼる。

 その中には、浅田次郎、あさのあつこ、内田樹、梅原猛、小山内美江子、佐貫浩、杉良太郎、高村薫、田中孝彦、広田照幸、辺見庸、本田由紀、山田洋次、永六輔…らがいる。これからも続々と多くの人々が賛同をよせるだろう。

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 なぜこうした多くの知識人や文化人がこのアピールを重視し賛同しているか。

 高校生や大学生、若い教師たちのみなさんなら、日本や世界の歴史を学んできたのだから、この『条例案』の危険な狙いに気づくだろう。これが、そしてこうした動きが、過去の過ち、歴史を反動化し、多くの人々を苦しめた日本の軍国主義やナチスドイツのファシズムの到来とつながるからだ。

日本の教育が2011年をさかいに反動化をいっそう強めファシズムへの道を再び歩み始めた、と未来の歴史に書かれることは許されない。いま子どもと教育、そしてこれからの日本の進路に平和と幸福を刻もうとするなら、この『条例案』を通してはならない。そうした勇気ある歴史の反動化をくいとめるような『アピール』にわたしも賛同する。

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この『条例案』の中心にいる橋下元大阪知事(現在、大阪市長選に立候補)の言葉が凄い。

「日本の政治のなかで一番重要なのは独裁ですよ。独裁といわれるくらいの力、これが日本の政治に一番求められる」(6月)

「教育とは2万%、強制です」(6月ツイッター)

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 「大阪府教育基本条例案」に反対する『アピール』の中には次のような文章がある。

『人間を育てる教育には、教える者と教えられる者との、自由な人間どうしの魂の交流が不可欠です。また、子ども一人ひとりの現実に即した、教員や保護者、子どもを支える多くの人々の知恵と判断が尊重されなければなりません。知事や議会が教育上何が正しいかを決定し、それに異議をとなえる者を排除していくことは、教育の力を萎えさせ、子どもたちから伸びやかな成長を奪うものです。…』

 ぜひ、多くのみなさんに読んでいただきたい。