秋の終わりに

 大学構内の木々がすっかり紅葉した。1号館正面のイチョウは鮮やかな黄色となり秋の終わりを告げている。もみじは黒味がかった深い赤色。もうあとわずかな日々で散るのだろう。

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 楽山に登る。桜の木の並ぶ道を歩いていたらゆっくりと前を歩く山人がいた。私が会釈して通り過ぎると、後ろからこんなお話をしてくれた。

「桜の花の芽がもう出る頃ですね!…」

 思わずドキリとした。そうなのだ。秋の終わりに、この裸の木々たちは、新しい花の芽をもうこの時期から用意している。

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 渡辺恵津子さんが都留に来てお話してくれた。矛盾を背負う教室の多様な子どもたちの生きる姿と学びの物語。学生たちに渡辺さんとの出会いのあることの幸せを思う。学びを子どもの声に寄り添いながら深い質の理解へと誘う姿が素敵だ。

 この渡辺さんの来校を待って、都留の学生たちが自主ゼミを開き学びあっていた。

 駅近くの店で渡辺さんを囲んで佐藤先生と軽く飲みながらおしゃべりをする。ゼミ生のTさんがここでアルバイトをしていた。びっくりする。立川駅まで懐かしいおしゃべり。