『辞める新人教員増加』の記事

 朝日新聞の夕刊を広げて驚いた。『辞める新人教員増加』の記事がある。「重い負担・人間関係…10年で8.7倍」「『心の病』理由急増」―。そんな見出しがついていた。悔しく歯噛みして記事を読む。

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 若い友人たちの顔が次々に浮かぶ。今年教師になったゼミ生たちや卒業生たちの顔もまた…。みんな元気でやっているだろうか。

 今年、教師に採用された人たちの人数は約2万6000人。このうち288人が依願退職したという。退職理由の1番が「自己都合」(58%)、次いで多かったのが「病気」で101人(35%)。「このうち精神疾患は91人を占めた」「そのうち東京が最多の84人で全国の3割を占める」(2011、11,8付)という。

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 新聞にはK氏の談話、『批判に弱い若手、理解して指導を』というコメントが載っている。ああ、これでは若い教師たちがかわいそうだなと思った。

 彼らは、瑞々しい感性と力を持っている。談話には『ゆとり教育』で育った若手が『詰め込み型』を長く実践してきたベテランの指導が理解しにくい…。そして『批判に弱い』等々と書いてある。唖然とする。

 いま学校現場は、ベテランも若い教師も苦闘につぐ苦闘の場にある。教育の仕事の楽しみを味わえなくさせられていることを鋭く指摘してほしいと思うのに…。

 若い教師たちの可能性をどう引き出していくか。子どもと学校の未来が問われている。

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 事態をどこから切り開くか。東京の小学校でやらねばならないのは、第1に実働正規教員を増やすこと。例えば英語教諭をすべての学校に1名加配する。第2は、授業時間数を週ごとに数時間減らし子どもと教師に充分な休み時間と学びの充実を創り出す。第3は、学習内容を個性的で深く豊かなものにしていき人間の未来につながる学力形成とつなげる。第4は、人事考課制度を辞め、報告文書等を減らし、自主的な学習研究体制を学校に創りだすこと。

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 若い教師たちは、前述の困難な体制下に置かれながら、さらに輪をかけて新任研修と厳しい評価の眼差しの中に置かれている。そして、学級では、ベテランでも難しい対応を迫られる生きづらさを抱え様々な課題を持つ子どもたちと全力で向かい合い、同時に日々待ったなしの授業実践を続けている。未熟さを抱えつつ、実践上の失敗や試行錯誤は当然なのに常に完璧さを求められている。

 どんな若者たちも、次から次へと襲ってくる課題を前にしたら『病む』のは当たり前なのだ!