奇跡のような出会い!

 「さあ、いよいよこれからが本番です!」

 そんな司会者の挨拶にみんなドッと笑った。『オホーツク合研』が終わった夜の懇親会の席。30人を越える仲間たちが、待ちかねたように乾杯した。

 それから、しばらくおいしい料理を食べ、飲み、歓談した。ぼくはいつもの通りジョッキ1杯のビールを楽しむ。

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 それから参加者の自己紹介が始まった。いろいろな職種の先生たちが一同に介している。共に学び合えるのがいい。ぼくの隣の席には夜間定時制高校の先生が…。

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 そんななかで信じがたい出来事があった。

 高校のK先生が立ち上がりお話されたときだ。

「聞いてください。みなさん。こんなことってあるんですね!まさかと思いました」

 こんな言い方から話は始まった。何を話されるのかなと思ったら、ぼくの学級通信が話題になる。

「山崎先生の学級通信の絵があるでしょう。あの絵の中にわたしの姪っ子がいたのです」

「えっ!…」

 思わずぼくは何事だと思った。

「先生の絵のブランコに乗っている女の子。それが私の姪っ子です。T..と言います」

「ええ!あのT..ちゃんのおじさんになるんですか!」

 それからKさんは関係を詳しく説明してくれた。北海道のKさんの奥さんが、ぼくが大田区で教えたT..さんのお母さんのお姉さんになるのだという。夏休みには家族そろって北見に遊びに来るし、Kさんたちも大田区の方に何度も遊びに行っているというのだ。びっくりした。その場にいる皆さんも驚いた。

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 4年生の一年間ぼくが担任した。柔道の強い女の子だった。児童会のお祭り集会のとき、女の子たちの中心になり自分たちで『11ぴきのねこ』の劇をやりとげた。まっすぐに物事に取り組む女の子。忘れもしない。

 Kさんはぼくの午前中の話が終わった途端、大田区のOさん宅に電話を入れたという。

「山崎先生が北海道の北見に来ているよ。知っている?」とそんなことを尋ねたらしい。

「学校中のみんなが、六年間に一度は担任してもらいたいと思っている先生だよ。今も年賀状を出しているよ」と言われたらしい。

 こんなことってあるんだ。まったく見ず知らずの土地だと思ったのに!でも、うれしいようなつながりの報告でよかった。Kさんとしっかりと握手した。

「今度は、大田区で会いましょうね」