大失敗、大爆笑!

 木曜5限は、『学校教育基礎研究』。2年生200人が対象。3年生や4年生の顔も見える。大きな階段教室での授業。

              ※

 今日のぼくの講義のテーマは『人間らしい教師としての眼差しをどのように支え、深め、鍛え、持ち続けていくか』

 いろいろ話した後、算数を中心に普段の授業創りについて話した。

「ちょっと、みんなにあげたいものを二つ持ってきました」

 そう話しながら紙袋から授業に使うものを取り出した。これは秘密。それを使いながら初めての『わりざん』の授業の進め方について話した。

 いろいろお話をしていたら、あっというまに時間がなくなってしまった。もう一つの算数の授業はほとんど触れられない。ただし、みんなにあげるものは取り出した。

              ※

 それは、おかしのラムネ!

 口の中でジュッととけるあの白い小さな玉。

 2年生のたしざんの筆算に使う。それぞれの席のかたまりごとに手のひらサイズの小さなラムネケースを渡してもらった。

「みなさん。いいですか。ラムネを一つ手にとりましたか」

 マイクで話した瞬間「あっ!」と思った。

 何と、ぼくは左手にマイク、右手にラムネの小さな瓶ケースをつかんでいて、右手のラムネの方をマイク代わりに口元に持っていってしゃべっていた。

 自分の大失敗にびっくり。まるで漫画だ。

 会場を見わたすと、みんなクスクス笑ってる。

「ええっ!今の見てた人いるんだ!まいったなあ」

その瞬間。もう会場は大爆笑。笑いの渦だ。

「先生、今日の授業、最高に面白かったです!」

 授業の終わりに言われてしまった。

                ※

 ラムネ一粒を片手につまんで空中高くあげるのだ。

「じゃあ、ぼくの真似をして言ってくれますか」

 みんながうなずいてくれた。うれしいね。

「誓いの言葉!」「誓いの言葉!」

「筆算なんて怖くない!」「筆算なんて怖くない!」

「口に入れて食べちまう!」「口に入れて食べちまう!」

「エイ!ぱくんとさあどうぞ」

 小さな白いラムネの玉を学生たちが口を開いて食べてくれた。

「筆算はラムネ味!…。こんな風に算数の時間を楽しむこともあるのですよ。終わります」

 なんだか子どもたちと取り組んだ授業がなつかしい。