ちいさいなかま

 郵便受けのポストに保育者と父母を結ぶ雑誌『ちいさいなかま』11月号が入っていた。

 ひさしぶりに手にする雑誌だ。全国保育団体連絡会が編集している。品川で教師をしている頃にはこの団体につながる人たちと共に運動を進めたりしてよくお世話になった。

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 今回、この雑誌に『わが幼き日』の小文を掲載していただいた。題して『幼き日の光と風は今もわたしのなかに』―。

 こんな機会をいただかなければ小学校入学以前を思い出して文章にすることはなかった。なつかしい思いで心に残る風景の一場面を書かせていただいた。

…ぼくは、竹やぶの前で泣いている。隣家で棟上げのもちまきをするという。楽しい催しなのにぼくの足はすくんだままだ。3歳か4歳の頃だろう。祖母が「一緒に行こう」と何度も声をかけてくれるのだが、ぼくは泣きながら首を振る。

「この子は、大きくなって一人で学校にいかれるかねぇ」

祖母が溜息をつきながらぼくを背負いつぶやいた。その声は、今もぼくの心の底に、笹の葉の触れ合う音やにぎやかな村人の声と一緒に残っている。

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高文研から連絡があった。『学級崩壊』の本が当初の心配を超えて多くの人に読まれているとのこと。うれしく思った。たくさんの人たちが、様々なかたちで応援してくれたおかげだと思う。感謝したい。

 ぼくもこの本に小さな文を書かせていただいたが、今も様々な本を読んでいるとき、ふとこのテーマについて考えていることがある。今と言う時代について、教師の置かれた状況や子どもや保護者の生きる姿について―。なぜやさしく人間的なものが、こんなに心を痛めなければならないか…と。