新任教師の登場物語

 本屋さんの店頭に『ギャングエイジ』という本があった。「あっ、教師を主人公にした本だな。ちょっと読んでみようかな」と思った。

著者は川端裕人(かわばたひろと)。

彼の本は『川の名前』とか『今ここにいるぼくらは』を読んでいる。二冊の本はとてもおもしろかった。少年たちが川を舞台として少年期を生きる姿が描かれる。心が躍る物語だった。ゼミ室に単行本が2冊おいてある。

 著者の川端氏は『夏のロケット』など科学に関係する物語や読み物を書いているがそれは読んでいはいない。

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 本の帯にはこんな言葉がならんでいた。

『えっ、前の先生は、失踪したんですか? 新人教師てるてる先生にギャングエイジの担任が務まるの?』

 登場するのは新人教師、日野晃道。臨採教師として3年生を一年間担任することになる。もう最初の日から遅刻して…。

 ところが、担当したクラスは…。二年生のときに学級崩壊をした子どもたちがいて問題噴出。親たちからもたくさんのクレームが入る…。まさに今を生きる等身大の新任教師の物語。

 ちょっとお話はミステリーっぽいところもあって、身近な学校や教室風景が描かれるのだけれど不思議な気持ちにもさせられる。3年生の子どもたちの動きがまたドキリとしたり…。

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 新人教師の物語といえば石田衣良の『5年3組リョウタ組』がある。こちらの物語に登場する日野先生とリョウタ先生は結構似ている。しかし、お話の展開はまた違う。この物語では教室を追われるようにして失踪した新任の女先生が再び戻ってくる。そして、保護者たちの様々な思惑や問題が具体的に取り上げられている。

 物語の展開や面白さは少し重いかな…と思うけれど、若い教師の実態や教室風景、授業づくり等についてはすごくよく書かれている。そして、困難な日々を生きる若い教師たちをどう支え復活させていくかの教育実践のような物語になっている。

読んだらちょっと勇気づけられるかな。