食事づくり
蓼科では3日間、自分たちで食事を作った。楽しかった。
一日目の夕食は、すぐ学習に取り組むので近くのレストランですませようと思ったけれど、ホテル以外で開いている店は1軒だけ。恐る恐るディナーの値段を見ると高い!まともに食べると数千円だ。
「やめよう。今日の夜から自分たちで食事を作ろう」
さっそくみんなで分担を決めた。買出し組は車で山を下る。水色のマーチが颯爽と走っていく。チョコレート色のキューブの方も走りたそうだったけれど、運転手N君の報告文書がまだできていない。
「あきらめるんだね」とみんな。
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残った者たちは部屋で時程と、買出しのための食事内容の検討。
ぼくは、手持ち無沙汰でソファーに座って外の緑を眺めながらガラス戸を開けて風を入れた。
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一日目の夕食は、鍋料理。『タンタン』と『キムチ』味。
「今年(新年度)になって初めての鍋だよ」とみんなうれしそう。10人で囲む食卓。おいしい、おいしいと食が進んでいく。
ところが、ごはんを食べようとしてみんな悲鳴を上げた。
「えっ、このご飯、芯があるよ」
「どれどれ…。わあ、本当だ。どうしよう」
カップいっぱいが一合ではなかったのだ。それで芯ができてしまった。しかし、このご飯がSさんの奮闘で翌日にはちゃあんと食べられるようになった。
二日目の朝は自家製のホットケーキ。大きなフライパンで焼いた。
昼はカレーライス。うまい!
そして、学習を終えて夕方の4時からバーベキュー。竈を取り囲むのはぼくたちだけ。炭火を起こしてパタパタと団扇であおぐ。
「火よ熾れ、火よ熾れ」
「お肉、じゃんじゃん食べてね」
Yさんが、そう言いながら炭バサミで網上のお肉をひっくり返す。
「この鶏肉おいしい!」
前夜から味付けをしておいたと言う。うまいはずだ。今度のご飯は上々の出来上がり。熱々のまま、おにぎりにして食べる。
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三日目の朝も食が進む。フレンチトーストとご飯。おかずは納豆、キムチ、野沢菜、玉子とウィンナの炒め物、キャベツとウィンナを使った焼肉ソース味の野菜炒め。「おいしいね」。これはもう一人のYさんの手料理。
残り物のカレーも最後まで食べつくす。ぼくが唯一、手伝ったキャベツの千切りをH君がカレーをかけて食べてくれた。
ご飯の上に納豆、野沢菜、キムチを乗せて『特製3色どんぶり』を作って幸福いっぱいの顔で食べていたのは、Yさん。