蓼科へ
『スーパーあずさ号』は立川駅には止まらない。
14日、快晴。強烈な暑さが再び戻ってきた。帽子をかぶりリュックと小さなトランクを引きずって南武線に乗った。立川駅でお昼のおにぎりを2個買う。車内で食べることにした。
八王子12時30分発の『スーパーあずさ号』に乗ると特急列車は深い山間部を突き進む。大月駅もまたたくまに飛び去っていく。空は秋だ。澄んで高く青い。しかし山際には夏雲が…。
甲府に近づくあたりから小金色の稲穂が見え始めた。
※
14時6分、茅野駅着。プラットホームに下りると携帯が鳴った。
「先生、すいません。わたしたち今、まだ甲府です」
「いいよ。あわてないでゆっくり来ればいい。ぼくは駅近くのレストランでコーヒーでも飲んでいるから…」
待ち合わせは茅野駅ロータリー前、14時15分。しかし、高速を車で走ってくるみんなの安全が第一だ。駅の近辺をぶらぶらして西口にあるビルの小さな喫茶室でコーヒーフロートを頼んだ。本を読み始めて40分、茅野のインターを降りたとの連絡が入る。
※
茅野駅東がきれいに整備されていた。日差しは暑いので日陰に入ってみんなの到着を待つ。辺りをぼんやり見つめていると「先生」と呼ぶ声。
見るとチョコレート色に輝く小さな箱型の車が滑り込んできた。窓から顔や手が飛び出して、まるでディズニーの映画の一場面のようだ。思わず微笑む。
すると今度は、小さなかわいい水色の車がやってきた。二台続けて止まる。これがゼミ生たちの乗る車だ。
※
久しぶりの出会いだ。ぼくはN君の運転する車の補助席にすわらせてもらって蓼科へ出発。9人の仲間とぼくとで10人。車は緑の山間部を北上する。いよいよゼミ合宿開始である。