Tさんの結婚式

 教会の塔の鐘が鳴った。ガラン、ガラン、ガラン。辺りに響き渡る。

 結婚式をあげたばかりのTさんとH君が、手を取り合って階段を降りてくる。歩く二人に向かってお祝いに駆けつけた人々からバラの花びらが舞う。

「おめでとう!」

 20日、高崎でTさんの結婚式があった。Tさんは今年の4月からS県の教師となった。新郎のH君は昨年からすでにS県で教師となる。新任の教師、1年目、2年目の二人の結婚式だ。何もかもが初々しい。

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 Tさんはゼミで一年間ずっと一緒だったけれど、新郎のH君とは同じ大学だったという。しかし、初めての出会い。Tさんの可愛く美しい姿を眺めながら、新郎のH君もずっと見ていた。素敵な若者だ。いい男だ。

 披露宴で二人の勤務する学校の校長がそれぞれお祝いの言葉を述べた。H君もTさんも職場のみんなに愛されながら大活躍をしている。聞いているとうれしくなった。この1年を何とか乗り切ってほしいと心配していたが、それはまったくの杞憂だった。

 ぼくの席は、Tさんの学校の校長や教頭、主幹をはじめとする先輩教師たちのテーブルにあった。いろいろとお話をした。

 Tさんの生き生きとした仕事ぶりや子どもとの触れ合いの様子を、具体的に語ってくれた。

「彼女は、とってもよくやってくれています」と主任の先生。

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 乾杯の後で、ぼくはお祝いの言葉を述べた。ゼミの1年を思い出しながら彼女の人となりや教師としての豊かな可能性について。

 ぼくは、お話をしながらとても幸せな気分だった。二人に教わる子どもたちの笑顔と幸福な姿が目の前に浮かんできたからだ。

おめでとう!幸せにね。

 帰り道は少し雨。タクシーに乗り高崎から新幹線。9時半帰宅。