神奈川の研究大会で
小雨の降る日曜日。8時を過ぎた。少し早いけれど南武線に乗り、武蔵小杉駅で下車し東横線に乗り換える。特急列車が横浜駅へ向かう。町はまだシャッターが下りていて眠っているようだ。
タクシーで神奈川学園に行く。白いタイルの坂道を登るとレンガ色のきれいな校舎があった。女子校だそうだ。
会場にはもうたくさんの人々が来ていた。教科研の友人、糸岡さんを見つけて座る。宮田さんも見えた。横浜国大の金馬先生ともご挨拶する。
9時半。開会。歌声が心に沁みる。ぼくは、10時から2時間ほどお話をした。一番前の席に、学びをつくる会の若いメンバーSさんがいた。
お話をしていると、いろいろな席から頷く顔や笑顔が見える。励まされる。
後で分かったことだが、辛い思いを抱えた若い仲間の教師がそこには何人かいた。ゆっくりと伸びていけばいいよ。そんなメッセージを送る。そして、今日の子どもの捉え方や教師の指導のあり方について語る。困難と同時に子どもたちのもつ可能性についても。
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終わって若い女性とお母さんが現れた。ぼくの下の娘の友人とそのお母さんだ。お母さんは神奈川で教師をしていて昨年の夏の都留の現職教員講座にも来てくれた。娘さんは東京で図書館の司書をしている。初めてお会いした。
「児童文学は好きですか」「大好きです!」
うれしい言葉を聞いた。
お昼を食べていると、どこかで見たことのある青年がやってきた。
「先生!」「君は、どこかで会ったことがあるよね…」
「今年都留を卒業した森ゼミのMです」
「ああ、そうだったんだ。どうりでどこかで会ったなあと思っていたの」
「先生のお話を聞きに来ました」「うれしいね。ありがとう」
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そうこうしていたら今度は佐藤博さんの友人のOさんと出会う。懐かしい。確か数年前の全進研の大会のあと、佐藤さんと3人でお茶を飲んだことがある。
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午後の分科会は地域で子育てや教育の懇談会を続けてきた保護者や教師のみなさんの会に出る。1時から4時半までたっぷりと交流した。ぼくの左の席にSさんが座って右の席にはどうも見たことのある青年が座った。S学園のK先生だった。
「今日は。君は小田原の教科研大会で会ったよね」
すると彼は、鞄の中からぼくのサイン入りの本を取り出して開いてくれた。ありがとう。頑張れよ、と心から思う。
会の中で宮田さんの発言に深く心が動かされる。子ども観、教育観、これまでの歩みや子育てのこと。
今回、気安く第46回大会の講演を引き受けてしまったけれど、宮田さんや糸岡さんのぼくの知らない側面をたくさん知って本当によかった。