青春の夢、まっただ中

 天気が心配された。雨が激しいとラグビーが中止になるかもしれない。「降るな!」と祈りをこめて大学に向かった。

 今日は都留文科大学と高崎経済大学の対抗戦、鶴鷹祭の一日目。

「先生、是非見に来てください!」

 ゼミ生のKさんから何度も誘われていた。

               ※

 午後の1時、大学着。ゼミ室で『対話ノート』に返事を書いてそれからグランドの向こうの体育館に向かった。Iさんが一人学習をしている。

 最初に市民体育館へ。二階の観覧席に登り剣道の試合を見た。Kさんが登場。

「ヒェーィ!」「エーイ!」

 裂ぱくの気合が体育館に響く。竹刀がリズムを打つ。上下の小さな揺れ。一瞬の隙を見つけようと…。ぼくには、剣道の一本が見分けられない。この一本に全てをかけ、見極める審判の白と赤の旗に潔く従う。剣道に精通する者だけに分かる一瞬。言い訳の聞かない勝負の醍醐味。

 一試合目、Kさんは見事に一本をとった。代表戦に再び登場。勝負はなかなか決まらない。5分を過ぎた頃、無念の一本が相手側に…。

               ※

 それから、隣接している大学の体育館に移動した。そこではバレーボールとバスケットボールの試合が始まろうとしていた。女子バスケットの試合が始まる。息を飲む。こんなに激しいのか。攻守が一瞬で変わる。休む閑もなく走り続ける選手たち。

 続いて男子の試合。ゼミのM君が登場。激しい攻防だ。前半を終わってほぼ互角。見事なランニングシュートもあった。ぼくは華奢な脚立を登って二階のギャラリーから試合観戦。となりにゼミのTさんがいた。

「M君の試合をはじめて見ました」

 4時を過ぎた。グラウンドではラグビーの試合が始まっている。走り、跳び、蹴り、ぶつかり、押し合い、楕円のボールが抱えられた腕の中で、前に前に向かって行く。倒れる、仲間に手渡す。誰かが後ろに来ることを信じて。すごいなとただただ見とれる。

 連動するボールの軌跡。それは、一つの命を仲間とつなげあうような美しい一瞬にも見える。

 ゼミのSさんが、バックを片手に右に左にサイドラインの横を走る。打ち身に水をかけるのだろう。ここにも熱い青春がある。