向ヶ丘遊園

 夕方の6時過ぎ、向ヶ丘遊園駅で待ち合わせをした。

 南武線の登戸駅で下車して小田急線の駅へ向かう。駅の風景がずいぶん変わった。ぼくが思い浮かべて較べているのは20年前の風景だ。

 その頃、ここは小さな古い駅舎の乗り換え駅だった。狛江の学校に10年間ほど通っていた。川崎行きの電車がなかなか来なくて、冷たい冬の風を避けながらあったかい蕎麦を食べたような気がする。

 登戸駅は少しビルが多くなって店が並んでいた。小田急のプラットホームが驚くほど広い。スーツ姿の男性がいっぱい下り電車を待っていた。

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 急行電車が高架線路の上を滑り込んできた。一駅で向ヶ丘遊園駅に着く。なつかしい。ここは何も変わっていない。改札口を出るとモノレールはないけれど後は昔のままだ。

 違った風景が他にも二つあった。学生たちがたくさん駅のロータリーの前に集まっていた。おかしいな。ここは専修大学だけじゃなかったかな。そうか、明治大学もこの近くに校舎を持っているんだ。その学生たちなんだ。

 もう一つ違いは駅前のビルにコーヒー店ができていたこと。

 待ち合わせをしたS先生とそのコーヒー店に入る。

「ここは、いつできたの」と店員に聞く。

「一ヶ月前にできたばかりです。ぼくは福島からやってきました」

「そう、頑張ってね」とS先生。

 1・2時間お話をして帰宅。

「昔、狛江の学校の仲間たちとお好み焼きを食べたのは、遊園だったっけな、それとも登戸だったっけ」とふと考える。