教育実習

 5月の後半から4年生たちの教育実習が始まっている。ゼミ生の半分近くが中学校と小学校へ。みんな故郷に帰って母校に依頼してきたのだ。なつかしい先生とも会える学生もいるようだ。受け入れてくださっている学校と指導教官に深く感謝したい。

3年生は9月、10月の実施。不安でいっぱいの挑戦だろう。でも、みんな子どもたちの前に立ち「先生!」と呼ばれ慕われ、グンと背伸びして教師をやる。それは、人生で経験したことのないような緊張と充実の日々だろう。ふりしぼる力、負けない意思。自分の中に新しい力を発見するときだ。

出会う子どもたちからは、愛おしさをプレゼントされ、“わたし”の中にこんなにも子どもを思う気持があったのだと驚かされる。子どもと触れ合い学びあい生活することが楽しい。うれしい。そんな日々を終えて、彼らは新しい人生を刻み始める。

勿論、こうした喜びだけではない厳しい現実を突きつけられる人もいるだろう。それは、これからの問いにして深めてほしい。

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 加賀乙彦の『帰らざる夏』を読み終えた。一ヶ月近くかけて。巨大な歴史の流れに巻き込まれる、少年の純粋な精神の行きつくさきにあるものの悲劇。左からも右からも非難があったという小説だが、ぼくは悩むことや批判を絶対的に許さない時代と教育のありようを作りだした日本の社会と軍国主義そのものが厳しく批判されているように思った。