埼玉学童保育研究集会へ

 雨の中、10時に家を出る。渋谷で湘南新宿ラインの電車に乗り換えた。長いプラットホームを歩いていく。動く歩道は止まったままだ。埼京線のホームと間違いそうでちょっと不安な気持ちで階段を降りる。

 上尾駅11時半着。まだ少し時間がある。駅ビルのドトールでカフェオレを注文した。店内は閑散としている。本を読む人、携帯を片手にちょっと声を張り上げている人。ぼくは、今日のお話に使う資料を読んでいた。

 タクシーで上尾文化センターに向かう。激しい雨がフロントガラスを叩く。土砂降りの中を車は真っ直ぐに進んで右に折れた。

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 会場の講師控え室で埼玉の高校教師だったSさんと会う。教科研でお世話になったお礼を言う。若者たちの支援と貧困の問題の専門家として活躍されている。

「山崎さん!」

突然背中を叩かれた。振り返ると下浦忠治さんだった。彼は学童保育の専門家。岩波ブックレットを書いている。品川時代、共に力をあわせて『品川子ども白書』を作った仲間だ。懐かしい。

「下浦さん、今日会えるのを楽しみにしてきました。今は大学?」

「社会福祉大学でね(日本社会福祉事業大学のこと)」

 他にもいろいろな仕事を頼まれているようだ。

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 お弁当を食べながら司会担当のKさんや記録担当のSさんと打ち合わせをして会場に向かう。始めに90分ほど問題提起。テーマは『学校は今どうなっているか』―。

 話し終えて休憩になったとき、思わぬ人がやってきた。

「河野です」

 ああ、ぼくはすぐ分かった。

「河野伸枝さんですね。会えてうれしいです。大学のゼミで河野さんの本を取り上げて紹介しているのですよ」

それは『わたしは学童保育指導員』という高文研の本のこと。ゼミのH君がもう読んでいる。

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 4時15分終了。外はまだ土砂降りが続いている。でも歩くことにした。大きな桜の木が何本か続く歩道を歩いて大通りに出た。樹齢100年を越すのではないかしら。水たまりを避けるのだけれど、歩くたびに靴裏に張り付いた水がジーンズの裾に跳ね返る。

 帰りの電車は読みかけの本『帰らざる夏』を読む。そろそろ終わりにかかってきた。