対抗戦・鶴鷹祭

 臨床教育学の授業が終わって、窓際で少しおしゃべり。

「あれ、確か君は今朝も会ったよね」「はい」

「何かスポーツをしてるの」

「ぼくたちハンドボールクラブです」

 2年生のY君と3年生のK君だった。

「あれ、じゃあぼくのゼミのHさんと同じだね」「…ふふふ」

 この笑いは何だ。

「ハンドって凄いよね。逆立ちしながらシュートを打ったりするんでしょ」「ええ、まあ、そこまでは…」

「今度、鶴鷹祭が都留であるんでしょ。楽しみだね」

「先生、応援に来てください」

「いいなあ。ぼくはスポーツの観戦が大好きなんだ」

              ※

 『鶴鷹祭』と書いて『かくようさい』と読む。鶴は都留文科大学、鷹は高崎経済大学のこと。二つの大学の交流戦。スポーツにかかわる部活が一同に会して試合をする。総合優勝も決めるみたいだ。ぼくが大学生だったら胸躍るできごと。

              ※

 今年は、ゼミ生にバスケのメンバーがいる。ラグビー部のマネージャーがいるし、バレーボール部のマネージャーもいる。剣道部の主将とかハンドボールの女子副キャプテンもいる。ウーン、試合を見たいなと思った。

「試合はいつなの」「6月の終わりごろです」

 さて、日程を見ると何やら入っている。でも、こちらの試合を優先したいな。もしも金、土、日ならね。

              ※

 対抗戦はなつかしい。ぼくはバドミントンクラブで大学生活のほとんどを過ごした。関東リーグに所属し入れ替え戦をめざした。一ツ橋や千葉大、東大が強かったな。ぼくらが3年のときは3部で優勝した。それから、毎年3月に全教戦があった。ぼくらは、奈良、和歌山、愛知で試合をした。そこで滋賀大の小田君とも友だちになった。彼らは大挙してぼくの狭いアパートに泊まりにきたっけ。

 二つの大学の交流戦。一人ひとりの胸にどんな青春の思い出と友情を刻むのだろうか。