希望

 朝日の夕刊を見て、心が明るくなった。二つ折りの新聞を開いた瞬間「わあっ!」と叫びたいような嬉しい気持ちになる。

 紙面全体が子どもたちの大きな写真と記事で埋め尽くされている。再開した学校で顔を寄せ合い語り合う子どもたちの笑顔。

 3人の小さな子どもたちがバケツを片手にプールから水を運んでいるもう一枚の写真。そのことだけがうれしいみたいに、夢中になって仕事をしている!

ああ、この一瞬、子どもは未来への誇りを感じながら“子ども”になって生きている!

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 絶え間なく続く震災、津波、原発のニュース。それは大切なことなのだが、子どもたちの心に、拭い去れない悲しみや痛みの記憶となって降り積もっていくだろう。

 記事は、そうした不安を振り払うように子どもたちの希望を描く。『子どもたちは前を向く』―これがテーマ。

 大きな見出しの言葉に勇気づけられる。

― 友達に会えるから 学校行くのが楽しい

― 家は流されたけど ランドセルは残ったよ

― 生き残ったんだから 野球も勉強も頑張る

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子どもたちに励ましと希望を伝えようとする熱いメッセージが伝わってくる。うれしい。こんな新聞が編集できるのだ。表題の文字一つ、取り上げる記事一つに、大きな葛藤もあったであろう。でも、ここからは「生きることって素敵なことだね」そんな、深いところから搾り出すような人間の声が聞こえてくる。