はじめの一歩

 池袋で第5回教師入門講座『はじめの一歩』。学びのWA主催。

 豊島区生活産業プラザの会場は、たくさんの若い仲間たちがいてうれしかった。若い研究者の大日方君が受け付け。大学のゼミ生のN君や、私の授業をとっているT君、Rさんも来ている。

「久しぶりだね。元気ですか」「はい」

 会場に漂う春の息吹き。この感覚は何だろう。若い仲間たちからあふれ出す命の輝きなんだろうな、これは!

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 午後1時半、石井さんの司会で講義開始。

第一部は渡辺恵津子さんの90分の講演。『子どもとともに育つ伴走者』がテーマ。若い教師へのメッセージを語ってくれる。質疑。

第二部は、教師3年目の千葉さんと板橋さんのお話。忙しい3学期のあいまをぬってお話の準備をしてくれた二人の努力に敬意。教師になったばかりの4月の戸惑いや一年目の不安、それを乗り越えていく日々と子どもたちの愛おしさを語ってくれる。いつ聞いてもいいなあと思う。

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それからグループを作って懇談した。それぞれのグループにはちょっと先輩たちも入れてもらった。講演をしてくれた渡辺さん、田所さん、佐藤博さん、霜村さん、佐藤隆さん、松田さん(農文協)、若い仲間をまとめる大日方さん、中村さん、石井さん、そして私も加わった。

わたしのグループには、新採教師や2年目、3年目の教師たちが参加。自己紹介に特技を話してもらった。

Yさん「特技は陸上です…。マラソンをやっていました」

「あれ、あなたは…、確かどこかで出会いましたよね。あっ、この間隣の席で一緒に飲んだんだ」「はい!」「わあ、申し訳ない!」

Kさん「ぼくはN区で教師をしています。特技は野球です。ライフセービングもしていました」

Sさん「ぼくはK市で教員をしています。今年が新採です」「頑張ったね、もうすぐ新採も卒業じゃない」「特技は…、剣道をしていました」

続く3人のお話はとても面白かった。

Sさん:「巡回指導員さんが来る最後のとき、子どもたちと相談して『11ぴきのねこ』の劇をしました。子どもたちが自分たちで相談してやり遂げていく。びっくりしましたし子どもって凄いなあと思いました」

 Kさん:「休み時間はとても元気なんですが授業場面になると、言葉を閉ざし表情も変わってしまうA君が、昨日『一つの花』を読んであげたとき第一次の感想をグイグイと書き出したんです。そればかりか、いつもは授業中にこんなことを一度も言わなかった少年が『先生、裏にも書いていいか』って聞いたんです。それがうれしかったです」

 Yさん:「『○○死ね!』とかいろいろな暴言を吐くB君がクラスにいるんですが、この間全校集会があって学年発表したとき、B君が発表の途中で受けを狙ってちょっとへんなことを言ったんですけど、それを見て他学年の子たちが『何なんだあいつは』みたいな言い方をしたんですけど、クラスの子たちがそのことを聞いて『B君のことをあんなふうに言うなんてよくない』って抗議しているんです。私は、抗議するクラスのみんなの姿を見てとてもそれがうれしかったです」

「B君をクラスのみんなが仲間の一員としてちゃんと位置づけているのね。それがあなたはうれしいんだ!」

 こんな話を聞くと、わたしはうれしくなる。若い教師たちの瑞々しい力。体の奥深くにこんこんと沸く泉があって、それを汲み続ける喜びとの出会い。